てにす 短編 | ナノ

仁王妹の変貌
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テニス部が休日に練習試合をするという事で丸一日が部活に消える今日。
弁当持参が必須だったのに、仁王雅治は家に忘れて行った。

仕方がないので届けてあげることにした仁王葉波、れっきとした雅治の双子の妹です。
学校に向かう為に黒のカツラを被って、黒縁眼鏡をして、制服をきちんと着こなして、兄の言いつけ通りに変装します。

テニスコートの中に入ってしまうのはダメだろうと感じて葉波は入り口のフェンスに立っていた。そして丁度通りかかったブン太と赤也に弁当を届けてもらおうと思って声をかけた。

「すみません。雅治が家にお弁当を忘れて行ってしまったので渡しておいてくださいませんか?」

「はぁ?手作りの弁当?残念だったな、仁王はプレゼントなんて受けとんねーよ。」

「そっすよ、ファンの子からもらったモノって何が入ってるか分かったもんじゃないっすからね。」

「イエ、ですから……私と雅治は兄妹で…、」

「ハァ!?お前と仁王がか!?あり得ねー!!」

「えーっ!?マジっすか!?うっそ…似てねぇ……。つーか…小せぇし、なんか地味っすね。」

二人が言い放った言葉が葉波の心を抉った。
地味はまだしも、兄妹があり得ないと言うことは葉波に対する最大級の侮辱に属される。

「………誰にモノを言っとるんじゃ。流石に初対面の君達にそこまで貶される必要性は無いと思うんじゃが?」

キレた葉波は思わず仁王語全開。
いつもはこの喋り方は独特過ぎて友達を無くすからと言って喋らないのだが、キレると言いだしてしまうそうだ。

「仁王先輩の口調まねても無理があるっすよね、丸井先輩。」

「そうだな。」

「信じるも信じないも自分らの勝手なんじゃけど私は雅治に弁当を届けたいだけぜよ。別に邪魔しようと思っとらん、私には雅治の栄養失調気味な食生活を最低限管理する必要があるんよ。」


「何騒いどるんじゃ?…って葉波!?なんでここに居るんじゃ!?」

騒ぎの中心的立ち位置に属している仁王がやってきた。

「あ!雅治!!また弁当を忘れとったけん、届けに来たんじゃ!!」

「………何を怒っとるんじゃ?」

「詳しくは丸井君と切原君に聞けばええじゃろ?私、ちょっと自制が効かんから帰る。」

「…おぉ、気を付けて帰りんしゃい。」

葉波は怒って、仁王はそれを見送った。


「で、おまんらは人の妹に一体なん言ったんじゃ?いつも優しい葉波があそこまでキレるんは天然記念物並じゃよ?」

仁王も半ギレ。二人を睨みつけていた。

「……兄妹とかあり得ねーって言いました。」

「似てなくて地味で、小さいって言いました。」

「馬鹿か!お前らは!!」

「「ヒッ!?」」

「あんな格好変装に決まってんだろうが!!人の可愛い可愛い妹にそんなこと言いやがって…今日の練習ペテン地獄をお見舞いしてやるよ。」

こちらは怒ると標準語となるそうだ。

「「ご勘弁ッ!!」」


有言実行、地獄の練習を終えたブン太と赤也。
とりあえず明日朝一で謝ることにした。
そのため仁王が朝練時に葉波を部室まで連れて行く段取りになった。

「ねぇ、雅治。もうあの変装しなくてもいいの?」

「せんでもええ、あの恰好で俺の妹じゃってばれたんじゃもん。あんな恰好続けてても意味はなか。」

「だったら…いいけど。」


葉波は仁王に言われるがままに変装をせずに登校。
予定通り葉波はテニス部の部室へお邪魔することに、

「おはようございます、皆さん。」

おはようございます、と部室に入ったのは葉波。
しかし、昨日とは全く違う格好をしていたため赤也とブン太には誰だか分らなかったようだ。
それもそのはず、黒いカツラを付けていない葉波の髪は仁王と同じく銀髪でサラサラの髪が腰の高さよりも長い。
更に黒縁眼鏡が邪魔して見えなかった瞳はまた仁王の様に鋭く、周囲を射抜いてしまいそうなもの。
身長が低いのに、何たるギャップ。
これもまた、いい。

「「すんません、誰ですか。」」

「葉波さんおはよう。」

「幸村君おはようございます。」

「仁王から話は聞いてるよ。昨日は災難だったね。」

「えぇ、本当。それより、私だと何故気づいたのでしょう?」

「簡単だよ。俺の読心術が効かなかったんだもん。効かないのっていつも黒髪の黒縁眼鏡をかけてる葉波さんしか居ないからね。」

「そこでの判断なのですね。」

「ちょちょちょ、仁王!マジでその女子昨日の奴で、お前の妹なのかよぃ!?」

「当たり前じゃろ。俺の自慢の双子の妹じゃ。」


「前回の接触では大変お世話になりました。改めまして仁王雅治の双子の妹、仁王葉波と申します。今後ともよろしくお願いするぜよ?あ、します。」

最後、方言が見え隠れしたが…言ってなかったことにする。

「お、おぉ…シクヨロ……。」

「…よろしくお願いしますっす。」









――――――――――――
400000hit企画第6弾
罪華様リクエスト「仁王の妹/地味な格好からのそっくりの顔で登校/誰!?的展開」でした。

短編ではあまりキャラの設定を生かすことが出来ませんでした…oyz
優しさ…どこに行った………。
最強設定…どこ行った……。

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【一応設定載せときます】
仁王はシスコン
最強設定
髪の毛は腰よりした。
身長は136cm
体重はかなり軽い
黒属性が効かない
やさしい


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