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お前は君と、 第02話
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そう言えば不二と手塚は何故友哉という自分たちの立場、所謂優等生と言う位置に居るのに劣等生代表でもある友哉とつるんでいるのか。
簡単に言えば不二は怖いもの見たさ、手塚は生徒会長として友哉を真っ当な位置に戻す為つるんでいる。
勿論友哉は最初優等生組の二人は気に食わなかったが、別にちょっかいを出してくるわけでもなく、厳しく反省文などを書かせると言うことは無かった。
ただただ友達としてつるんで駄弁っていた。



「は?マジで?」

「うん、マジで。」

「…ふーん、まっ俺には関係ねーよな。俺は虐めなんてしてカッコ悪い事ねぇし。してねぇし。」

「本当にそう言えるの?」

「どういうことだよ。」

「虐められてる子、君の幼馴染だよ?しかも主犯は君の舎弟。」

「………は?」

信じられない、と言った様に友哉は大きく目を見開く。

「うん、絶対。僕の情報に間違いはないし…乾もそう言ってたし…。」

「わりぃ…俺、ちょっと一時間目ふける!!」

「はーい、いってらっしゃーい。」

不二はヒラヒラと手を振って友哉を見送った。
友哉は急いで幼馴染のクラスへ向かった。

先ほど言った様に友哉と幼馴染で友達だと言うことは学校側にはばれていないと思う。
ばれない様にあっちが情報調節していると思う。
自分と友哉はただの近所の同級生です、と。

友哉も一応優等生と不良がつるんでも先生が五月蠅いだけだと分りきっているので、隠す事には協力してきた。
しかし、今日は、今はそういう訳にもいかないだろう。
イジメだなんて、
自分が嫌っている陰険なイジメを自分の幼馴染が受けているなんて予想外だ。

そんな協力破棄してでもこれは問い詰めなければ気が済まない。

幼馴染のクラスに到着して、幼馴染を探す。
姿を見つけた。幼馴染は自分の机で小説を広げて自分の世界に入り込んでいた。
友哉はそんなもの構うもんか、とその小説をひったくり幼馴染の腕を掴んだ。

「…ちょっと来い。」

「え、ちょ…君!!」

不良の頭に連行される優等生。
これはどう見てもこれからリンチしますといえる図なのだが、クラスの皆は止めようとしない。
女どもはクスクスと笑ってこっちを見ているし、このクラスにいる友哉の舎弟でさえもニタニタと笑っている。
イジメの犯行はクラス皆、そして友哉が舎弟達には言ってある「陰険なイジメを禁止」というルールを平気で破っていることが判明。忘れたとかそんな理由は聞いてやらねぇ。

友哉は誰も通らない校舎の隅の階段の所まで歩いて行った。
それから向かいあう。

「ッお前!!虐められてるってどういう事なんだよ!!」

「!?…誰から聞いたの?」

「不二だよ!!なぁ、俺は確かに誤解されがちだけどイジメだけは嫌いだってこと知ってるよな!?お前、虐められてんなら俺を頼れよ!!俺にチクれよ!!
お前、まさかその学ランの下は痣だらけ、とかそういうオチねぇよな?隠すために着てんのか?
だったら俺、相当なバカじゃねーか。…なぁ、お前どういうつもりなんだよ……?」

支離滅裂なことを自分が言っていることについては自覚があるが、
元々頭の悪い友哉。要領を得る話し方を今言えるわけがない。

「……君には…関係ないよね?」

「…は?」

「確かに僕は虐められてる。だけど…君には関係ないよね?
それに僕と君は約束もした、学校では関わらないって…言ったよね?なんで今、僕の腕を掴んでんの?君まで僕を虐めるの?僕は君との接触を望んでいない。
もう一回言おう、君には、関係のない、出来事だ。僕は君を……巻き込むつもりも無い、し…君のエ、エゴ…に僕を巻き込まないでくれるかな?」

「っなんだよそれ、なんだよそれ、バカみてぇじゃねーか!!なんでそんな冷静に居られんだよ!!ムカつく、ムカつく!!」

「…友哉はなんでそんなに僕に固執するの?僕と君は…ただの、幼馴染で交友関係も…絶ったはず。」

「ぁあ?絶ったはず?
あー、そうかよ。そうだったのかよ。絶ってたんだな!俺はてっきり他人ごっこを学校でしてるだけだと思ったのによ!!
馬鹿じゃんか、俺。何他人をこんなにも守ろうとしてんだろうな!!ウッザ!!
勝手に虐められとけよ!!もう、知らねーからな!!」

「あ……ッ…。」

友哉はその場を駆け出した。

幼馴染を救いたいと思って起こした行動を幼馴染によって無下にされた。
だったらこれ以上自分が関わる必要性など無い。

舎弟に「イジメを止めろ。」とただ一言いえば良いだけだったのに……。
そういう事だってもうあんな幼馴染にする必要は無い。



「おい、お前…。」

放課後、幼馴染と同じクラスの舎弟と話をする機会があった。

「兄貴?なんすか?」

「イジメを…してんだってな?」

「っすよ!まぁ、暇つぶしっすけど、それなりに楽しいっすよ!!…なんすか?」

「………いや、別に……。」

友哉は何もアクションを取らずに舎弟と別れた。
ムシャクシャする、ムシャクシャする。

友哉はこの思いを発散したいと思って朝、ポケットに入れいたメモを取り出した。
メモには幼馴染の家の電話番号が書かれてある。
それをビリビリと引き裂いて、風に飛ばす。


なんか、あいつと縁を切ったようで少し、すっきりした。


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