ほほ笑みあって | ナノ






ほほ笑みあって



竜崎とは毎日一緒に帰る。部活で遅くなるのは悪いけど、付き合い始めてからずっと竜崎は教室で待てってくれる。今日は翌日の試合に備えていつもより早く部活が終わった。


「リョーマくん!早かったね」

「明日試合あるんだけど」

「あ、うん、朋ちゃんと応援行くよ」

「ちゃんと試合見ててよ」

「うん!リョーマくんのこと、いっぱい応援するね」


そんなこと言われて嬉しいのはこっちの方なのに、それ以上に嬉しそうに竜崎が微笑むから、思わず頬が緩んだ。


「ありがと、」


そう言って、竜崎をぎゅっと抱きしめる。いきなりのことに驚いたような竜崎の瞳を右手で覆い隠して、キスをした。

唇と右手を離すと、掌の先で竜崎がさらにびっくりしてるのがわかった。


「リョーマくん?!」

「竜崎がかわいいこと言うから」

「ぇえ?」

「なに?したくなかったの?」

「…そ、そういうわけじゃないけど」


慌てながら弁解しようとしてる竜崎をじっと見つめると、視線がぶつかった。「もしかして、ファーストキスにこだわりとかあった?」我ながらデリカシーのないそんな質問に竜崎が再び慌てる。そんな竜崎を笑って、つられるように竜崎も笑う。こんなことがどうしようもなく嬉しい。竜崎も同じだったらいいな、なんて柄もなく思う。


「竜崎、そろそろ帰ろ」

「うん!」


勿論、手をつないで。別れ際、竜崎の家の前で2回目のキスをしたら怒られたけど。




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