*色々省いてます。
ドンドンドンと激しく音を立てるバリケードに思わず肩を揺らす。
そんな私を横目に見、河西くんは私の肩を抱き寄せた。
「…河西く…」
「大丈夫。名前は僕が守るから」
微笑む河西くんに思わず胸が高鳴った。
河西くんとは付き合って数ヶ月になるけれども、どうも笑顔の河西くんには慣れず頬が紅潮してしまう。
その後、この場所ではもう持たないと判断され私達は窓から外へ飛び出し先輩が持ってきたキーの車へと乗り込んだ。
炎で焼かれた二人に心が痛んだがそんなことを考えている場合ではないと頭を横に振る。
「クソッあと一人乗れねえじゃねえかッ!」
先輩は悔しそうに声をあげた。
しかし河西くんは私の腕を引っ張り自分の膝の上に乗せる。
「これならあと二人、乗れるでしょ」
先輩は目を見開いたが、あぁそうだな。と返すと炎を飛ばしてきた奴に車をぶつけ、二人を回収する。
そのまま車は学校を出、道路へと飛び出した。
襲いかかってくるゾンビ達から私を守ってくれる河西くんに不謹慎ながらもドキリと胸が高鳴る。
そのまま車を停止させ、私達は霧の中へと入るために手を繋いだ。
私は河西くんと手を繋ぎ左端へとなる。
「…河西くん」
「大丈夫」
「…死ぬときは、一緒だからね」
「…あぁ」
そのまま河西くんは私に口付けを落とし、霧の中へと入っていった。
「か…さい、く…ん」
そこで私の意識は途切れた。
愛する者と手を繋いだまま命を落とした彼女と彼は安らかな表情をしていた。