あぁ、ヘマをした。
忍務で、油断をしてしまった。
忍者としてあるまじき失態だ。
今回はある城から密書を奪って来るという忍務だったのだが、やられた。
運悪く忍隊に見付かってしまい、襲撃を受けた。
全身血塗れで、所謂瀕死である。
―あぁ。でも。滴る血液が心地良い。
もう私はきっと死ぬのだろう。
だけれど、あぁ、私の恋人に申し訳ない。
将来を約束した、彼に。
一言でも、なにか、いい残し…たか、った…。
静まり返る森の中で私は静かに息を引き取った。
あぁどうか、来世では、またあの人に、留三郎に会いたい―
「 君だけが僕にとっての色彩でした 」
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