たんぽぽの花粉はあの花の色の通りにたまごのような色味をしていて、一輪の大きさが子供の私の手に良く馴染んで、茎を輪っかのように縛って指を通せば、即席、自然界のお化粧道具の出来上がりだったのだ。それを頬にポンポンと叩いて粉を落とせば、可愛らしい黄色が自信と共にふんわりと顔に乗った。周りの女の子の誰よりも早く、好きな人の前で自分を飾ることを覚えたマセガキだったのは別に良いが、問題なのは頬紅の色がたんぽぽの色であったことだ。本来それの役目としては頬に血色の良さを足す事であり、私のしていた事は顔色を人間からかけ放す行為だ。釘を刺すが、子供の頃の話だ。

「サ、サイアク…」
「ははは、思い出した!そうだ、こんな頬色をしていた時期が、君には確かにあったな名前!」
「それもう捨てよう、レンゴク」
「可愛らしいじゃないか」

煉獄が押入れから引っ張り出してきたのは、昔に彼がクレヨンで描いた私達の似顔絵だ。煉獄は自分の顔の輪郭から食み出るほどの大きさの目をしていて、反対に私は胡麻の粒みたいな瞳をしている。腕の関節がいかれている程に曲がっているけれど、それは絵の中の私達が手を繋ぐためには仕方のないことのようだ。だが注目すべきはわたしの頬の色。煉獄は純色黄色のクレヨンで、私の両頬を塗りつぶしていた。



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