「煉獄さん、ちょっとゲームしましょうよ」
「ふむ、どのような」
「このさいころを。ひとり一個ずつです」
「ん」
「簡単ですよ。大きい目を出した方が勝ちです、それで、えっと…」
「…なんだ?」
「勝った方は、負けた側にひとつ頼みごとが出来ます」
「ふむ」
「ま、負けた方は責任もって、その頼みごとを遂行しないとだめですからね」
「…なんだか簡単な勝敗の決め方だけに、その後が怖いな」
「...やってくれますか、私とさいころのゲームを」
「うーん…。まあ、良いだろう!君ならおかしな頼みごとなどしないと踏んだ」
「それは、どうでしょう…。じゃあ、早速煉獄さんからどうぞ」

丸い盆の上に、サイを振った。角でくるりと方向を変えてから、それはゆっくりと倒れ込み、天井にくろい点が4つならんだ。勝負としては面白くなっている。俺は彼女が天辺の数字をきんちょうしたふうに瞳の中に映しているのを盗み見ていた。可愛らしくて、これはちょっとした悪戯なんだと言って、その頬を撫でてみたいと思った。擽ったくなった彼女が身を捩ったのなら、そのまま指先を耳の裏までもって行って、こちら側に引き寄せてみたいとも思った。彼女は俺の賽の隣に、6の目が出た状態の自分のさいころをひとつ置いた。きちんと指先をつかって、ぴったりと地に1を隠した。

「…どういうことだ」
「誰も賽は振らないといけないだなんて言ってません」

呆気にとられた。「あの、頼みごとなんですけど」というか少し、腹が立った。

「……す、少しの間だけ、目を瞑っていてくれませんか。何もしませんから」

俺は彼女の後ろ首のほうから髪に手を入れて、頭部がそれ以上己と離れることのないように固定した。それから少し開いたままのくちびるを塞いで、彼女の願い通りに暫くのあいだ、目を閉じてやることにする。



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