廊下、正面から名前が歩いてきてこちらに向かって手を振った。俺は嫌な予感に支配されたので窓の外に視線を移す。ワザとらしくやったのに彼女は俺の先を遮るようにして立ち止まった。桃のあまい香りがしていた。たぶん、香り付きの何かを身に纏っている。俺なんかより、窓のそと、中庭にて数名の先生と昼食をとっている煉獄先生にでも構えばいい。

「獪岳くん、お願いがあるんだけど」
「は、誰だテメェ」
「誰だじゃないしテメェでもない。この間一緒に文化祭の後片付けやったばっかりでしょ」
「名前は全く、片付けに加担してなかったけどな」
「なんだ、名前覚えてるじゃん。それでね、お願いなんだけど、」
「勝手に進めんな」
「煉獄先生が歴史の宿題完璧にやった人にくれる、ご褒美シールあるでしょ」
「あぁ、あの炎の」
「あれ、ちょうだい」
「はぁ?なんで」
「私ももらったけど、集めてるの」
「集めてどうすんだよあんなもん」
「3枚で煉獄先生の貴重写メくれるってアカザ先輩が」
「…おまえらって本当に気持ち悪いよな」
「私は煉獄先生の写真欲しい」
「一回、アタマぶっ叩いてもらえ」
「お願い、獪岳君!ほら、ピーチキャンディと交換!」
「いらねえよ!」



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