「あーあ。煉獄がアラーム止めたせいで遅刻だ」
「やっと起きてきたか」
「同居人がアラーム止めましたって講師の先生に言ってやろ」
「毎朝言うようだが、名前、君はしっかり自分で止めている」
「証拠ないもん」
「あるぞ」
「え?」
「実はな、あるんだ。動画を取っておいた」
「エッ!?」
「今まで黙っていたが…、君は鳴りやまない目覚ましを止める前に、ベッドの中の俺の存在を無意識のうちに手探りで確認し、居ないと分かると抗議の声を上げる癖があるんだ」
「なにそれ」
「それから目覚ましを止めてまた眠る」
「なんなのそれ」
「見た方が早い」

煉獄は携帯の画面をこちらに見せた。画面の中で私は、寝相の悪さによってちらかった毛先を披露しながら眠っていた。枕元でブルーの目覚まし時計が鳴っている。私は目を開けない。その代わりにベッドの中であちこちに手を伸ばし、何かを探しているようだった。この仕草を煉獄は自分を探しているのだと言ったが、私にはベッドの中を亀と似たスピードで泳いでいるふうにしか見えなかった。間も無く、画面の中の私は寂しそうに煉獄の名を呼んだ。彼の下の名を自然に呼んだ自分に驚いていると、私の手が目覚まし時計のアラームを消し動画が終わった。「可愛いだろう?」煉獄は画面と私に交互に目をくれて、大層幸せそうに口角を上げた。携帯が彼のスーツのポケットにしまわれてしまう前に私はそれを取り上げ、「勝手に人の寝ているところを撮るな!」起き抜けにしては大きな声で怒鳴った。



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