「任務帰りの千寿郎の迎えが癒しになる」
「分かる。でも遅い時間に帰宅して千寿郎君が出迎えてくれなくても、寝てるんだなって考えて癒しになるよね。寝室覗きたい気持ちは今の所我慢出来てる」
「分からないでもない」
「この間なんてさ、千寿郎君と買い物行った時なんだけど…荷物は俺が持ちますよって私の手から紙袋奪って行ったんだよ」
「むう、流石だな。自慢の弟だ」
「心持っていかれた」
「俺は胃袋も掴まれてしまっている」
「分かる…千寿郎君の料理はどうしてあんなに美味しいんだろう?是非、千寿郎君をお嫁さんに貰いたいんだけどいいかな?」
「挨拶の順番が違うぞ名前。先に許可を貰うならば父上だ」
「それは失礼した」

ふざけた会話に興じている二人の間には、沈黙を貫いていたもう一人の人間がいた。

「あの…私が寝ている間にそういう会話するの止めて頂きたいんですが」

二人に挟まれた蒲団の中には千寿郎が居た。彼の自室だった。襖の隙間から漏れる光の加減で、現在の時間帯が早朝である事を悟った。千寿郎は足先を伸ばして小さく身動ぎをしつつ、二人がいつから此処に居たのかという事を考えた。二人は、千寿郎を心配そうに覗き込んでいる。手の調子を杏寿郎が聞いたが、千寿郎は昨晩、包丁でほんの少し指先を切ってしまっただけである。心配が度を超えているのだ。



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