宮治くんに夢のような告白をされて早一週間
毎日会話しに来てくれる治くんの様子に流石に周りもなにか気がついたのか、好奇の目を向けられてます
なにこれ、小学生の時に授業参観でわからない問題当てられて呆然と立ち尽くしてた時の気分なんだけど
「(居心地悪い)」
咲ちゃんは委員会で席を外してるためぽつんと孤立してる私
よく考えたら咲ちゃん以外あんまり仲の良い友達いなかったっけ
クラスに一人はいる目立つわけでもなく暗い訳でもないどっちつかずで逆に目立たない女の子なポジションにいる私にはこの状況はかなりつらい
まだ休憩時間あるし外の空気を吸おうと教室から出て中庭に向かう
ここ稲荷崎高校はスポーツにかなり力を入れてる学校で敷地は広め
そのため至る所に中庭があるんだけれど、今日は一番お気に入りの中庭に行くことにした
「誰もいない…よね?」
周りに人がいないことを確認してベンチに腰掛けると遠くの方で生徒達の話し声が聞こえた
教室棟から少し離れてるから落ち着く場所
それに、ここの中庭だけ綺麗な花壇がある
どうやら教頭先生が趣味で植えたらしいんだけれど、随分と趣味がいいみたいで色とりどりの花は日差しを受けキラキラと輝いている
「んー!やっぱりここ好きかも」
「ほんまやな、昼寝しやすそう」
「でしょ?」
私も何度かここで寝落ちしたことあるんだよねー……って、今私誰と会話して
声の方向を見ると、二階の窓から顔を出してる治くんがいた
「お、治くん?!」
「スマン、ここ来んの見えて着いてきてもた」
「あ、いや、それはいいんだけど」
どこから着いてきてたんだろう、私変な顔してなかったかな?というか、治くんと普通に話してるけどまだ慣れない!
「花好きなん?」
「好き…なのかな?」
「疑問形?」
「そう言われると好きかも、落ち着くんだ」
好きか嫌いかなんて考えたこと無かったけど、思い返せば幼い頃から花を見て喜んでたっけ
あれ、私花好きなんだ、知らなかった
「また一個、琴葉ちゃんのこと知れたわ」
「っ」
サラッと言うからタチが悪い
流石稲荷崎のアイドル、慣れてらっしゃる
そう思い治くんを見れば楽しそうにこちらを見つめてる
「なあ、そっち行ってもええ?」
そう告げた治くんの顔が少し赤い気がしたのは気のせいだろうか
つられて私まで照れてしまって、誤魔化すように頷いた
治くんが隣に来るまであと何秒だろう
早くなる心臓の音は聞こえないフリをした
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