春風で桜が舞う中、目の前にいる男の子と見つめ合う
整った顔立ちにかなりの高身長、そう言えば友達やクラスメイト達が噂をしていたのも聞いたことがあったっけ
確か彼はバレー部のレギュラーを勝ち取るほどの実力者で、双子という強みを活かした挑戦するバレーをするらしい
鍛えられているんだろうなと思わせる体格の良さが実力を物語っている
話を戻そう
そんなこの高校でかなりの有名人の彼が何故私と向かい合っているのか
「ごめん、今なんて…?」
聞き間違いだったらかなり都合のいい耳をしていると思うので、今すぐ病院に行くけれど、生まれて此方耳はいい方だと自信もあれば、こんな人がいない場所で聞き間違えるとも考えにくい
けれど彼の口から出た一言は耳を疑いたくなるほど衝撃的なもので、思わず思考が停止してしまったのは許して欲しい
「せやから、俺と付き合ってくれへんか?」
聞き間違いじゃなかったようで自分の聴力はまだまだ絶好調だと安心すると同時に、心臓がキュッとなった
世間一般で言われる所謂告白というやつなため本来ならとても嬉しいイベントなはずなのに、喜べないのは告白してきた相手が彼だと言うことにある
先程も言ったけれどハイスペックな彼はかなりの人気者
同級生達はもちろんのこと、学年問わず皆から好かれる奇跡みたいな人物だ
何のご縁が知らないけれど中学でも同級生だった私からしたら本当に雲の上の存在で、会いに行けるアイドルのような感覚
そんな人が今私に告白をしているなんて前世でどんな徳を積んだんだ私
ポカンとしてる私から目をそらさずに少し緊張した面持ちの彼は「中学の時からずっと好きやってん」と言葉を続ける
双子の片割れの方とは同じクラスになったこともあるし、何度かクラスメイトとして何人かで遊んだこともあるけれど彼とはほぼ初対面のはず
それなのに中学の頃からと言った彼に混乱していると、最後のひと押しと言わんばかりに彼は口を開いた
「返事、教えてや」
そう言って少し照れたようにはにかんだ宮治くんに流されるようにして頷いてしまった
「よろしく、お願いします」
これが全ての始まりで、何気ない日常が彩られる記念すべき一日目だったと知るのはまだ先のこと
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