今日は日曜日
いつもならとりあえずゆっくり寝て、昼すぎから服とか買いにぶらぶらーっと買い物に出かけるんだけれど、今日はそんなこと言ってられない
「なんでこんな朝早くから起きてんの」
声をかけてきたのは弟の佑斗
そう言えば野狐中学のサッカー部入ってたっけ
「お姉ちゃんにも色々あるの」
「なに?追試?」
「アンタと一緒にしないで」
「俺は運動神経にステータス全振りしてるから頭悪くてもいいんだよ、姉ちゃんはどれも普通じゃんか」
おっと、なんてこと言うんだマイブラザー
こう見えても運はある方だからね
勉強も運動神経も可もなく不可もなくだけど、運だけはかなり良い
昔から幸運を呼ぶことに関しては周りからも評価されてるんだから!
「あら、二人とも早いのね」
「おはよ母さん」
「おはよう、佑斗は部活だとして…琴葉は?」
私が早起きしてるのがそんなに珍しいのか、2人して不思議ですと言いたげな表情
まったく失礼な!
その時ピンポーンと呼び鈴が鳴り響く
「こんな時間に誰かしら」
日曜日の朝7時
確かにこんな時間に呼び鈴がなるのは珍しい
けれど私からしたら心当たりしかないわけで、急いで玄関へ向かう
早めに準備が終わっててよかった!
「どこ行くの?」
「ユニバ」
「咲ちゃんと?挨拶しなきゃ」
「あ、ちょ!」
玄関の扉を開けて咲ちゃんに挨拶しようとしたお母さん
でもそこにいたのはお洒落な服装の治くん
「…え」
「あ、宮治です、初めまして」
ぺこりと頭を下げた治くんを見てた佑斗が「宮ツインズの!?」と叫んでるあたり、やっぱり卒業しても宮ツインズは有名なんだろう
「てゆーか、なんで姉ちゃんと宮治が」
「もしかして…!」
お母さんが期待に満ちた目で治くんと私を交互に見つめるから、治くんが少し微笑み「お付き合いしてます」と告げる
それだけの事なのに、なんだかむず痒くて治くんの手を引いて家から飛び出した
「ちょ、待って!まだ聞きたいことが!」
「急いでるからまた後で!」
名残惜しそうな佑斗を振り切ってずんずん歩いてた私はハッとして治くんを振り返る
ずっと手を握りっぱなしだったから嫌がってるんじゃ…そう思ってたのに、目に飛び込んできた治くんは真っ赤
「っ、治くん…?」
「琴葉ちゃん、今こっち見やんとって」
「は、はい」
前に向き直った私は手のひらや指先から伝わる治くんの熱にドキドキしていた
お互いに恥ずかしいはずなのに、繋がれた手は離さずもう少しだけ繋いでいたいと思ってしまった
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