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今日は定期総会
相変わらずの光景


「安倍晴明じゃと?」


玉藻前が怪訝そうに顔をしかめた
その様子を澄ました顔で眺めるのは妖狐の双子

昔からやんちゃだったこいつらの面倒を見ることが多かったため突拍子もないことを言われるのにも慣れてるが、流石に今回は笑えない

今この二匹が告げた内容は俺ら妖と人間との均衡を揺るがすほどのものだからだ


「そなたらは、かの安倍晴明の生まれ変わりが妖と手を組み百鬼夜行を起こそうとしている、本気でそう思っておるのか?」

「せや、現に巫女の生まれ変わりに接触してきよった」

「それに巫女をも凌ぐ神力の持ち主はたった一人しかおらん」


双子の態度は問題あるがアイツらの力、そして見る目は信頼出来る
稲荷の領主なのもその為だ


「しかし安倍晴明は陰陽師、百鬼夜行の際も巫女と共に制圧したと聞いておるが」

「ならば何故今にもなって再び?」

「そもそも安倍晴明と巫女の子孫が土御門、その末裔が両者の生まれ変わりではないの?」


ざわつく三大王
それもそうだ、根本が揺らいできてしまったのだから


「ワシらが守ってきた稲荷の地を作り上げた創成者が敵だということか」


玉藻前が零した言葉に返答はない
流石の大嶽丸や酒呑童子も決めかねてるようだ
俺も裂けた尾を揺らしながら様子を見守る

しばらくの沈黙の後、玉藻前が長いため息を吐いた


「金狐銀狐よ、そなたらに命ずる

安倍晴明の生まれ変わりを殺し、百鬼夜行を食い止めよ」


安倍晴明を殺す
つまり陰陽師最強と言われる人間を殺すということ
もし仮に何らかの理由で陰陽師達が安倍晴明側についたとき、この二匹は主人を殺してでも安倍晴明を討つ必要がある


「勘違いすんなや、俺らの主はただ一人」

「俺らはお前の言いなりにはならんで」

「フン、相も変わらず巫女に惚れ込んでおるとは…マセガキ共め」

「喧しい年増しババア」




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「侑、治」

「「北さん!」」


名を呼ばれて振り向けば、そこには尊敬する先輩の北さんがいた
相変わらず綺麗で真っ白な毛並みや


「お前ら出来るんか?」

「討伐のこと?」

「出来ますよ」

「これは出来ませんでしたじゃすまん話やぞ」


ピリッとした空気になったのを感じた
今、北さんは俺らの事を試してるんや
玉藻前には啖呵切ったけど本心を探ろうとしてる

ツムはしばらく黙り込んでから胡散臭い笑顔を浮かべた


「今の今まで俺らに出来んことなんてありました?」

「お前らが優秀なんも自信家なんも知っとるから聞いとるんや」


北さんの金色の瞳がスウッと細められる
昔悪さしてた時はよくこの顔に怒られたっけな


「いらん心配ですよ、北さん」

「さっきも言いましたけど、俺らは主のためなら何だってする」

「今度こそこの手で救ってみせるんや」

「…俺が言いたいのはそうやなくて」

「分かってますよ、心配してくれてありがとうございます」

「せやけど心配することなんか何もあらへん、安心して下さい」


やんわりと拒絶して北さんに頭を下げる
ツムと二人でその場を立ち去るものの、他の妖は好奇の目でこっちを見とる
その目玉潰されたくなかったらはよ消えろ


「七歌を晴明なんかに渡さへん」


ツムの呟きに小さく頷いて、土御門の屋敷に足を進める
陰陽師とか妖とかそんなん関係ない
俺らは七歌のためだけに戦う

式神やからやない、前は救えんかったから

今度こそ必ず






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