80


新クラスになって一ヶ月が経った
徐々に慣れ始めた頃や
その証拠に初めこそ治とあかりがおるからって色めき立ってたクラスメイトも最近じゃ普通

いつも思うけどこの二人アイドルかなんかなん?って勘違いしそうや
倫太郎と一歩下がって眺めてたのも懐かしい


「涼香、腹減った」


授業が終わって休憩に入った途端、席に座ってる私にもたれ掛かるように後ろから抱きついてきた治


「ちょ、おも、い!アンタ何キロある思てんの!」

「んあー…この前測ったら74.5やった」

「身長あんま変わらんのに侑より1キロくらい多いや「なんて?」


両頬っぺたを摘まれて上を向かされる
目の前には逆さになってる治の顔
うん、この体勢首痛いからやめよか、あと近い


「誰がデブや」

「そこまで言うてないもん、治の方がよく食べるんやししゃあないやん」

「誰がデブや!」

「話聞いてた?」


食べることが一番好きな治からしたら体重なんて気にならんのやと思ってたけどそうでもないんやなあ
もたれかかったままの治が再びお菓子を強請ってくる
カバンに忍ばせてるんやけどたまには我慢させなあかんよな


「治子供かよ」

「なー、スナお菓子持ってないん?」

「ないよ、二宮は持ってるんじゃない」

「二宮、菓子」

「それが人に物頼む態度か貴様」


怒りを堪えるような顔をしてるあかりに動じてないのか、治は眠そうな顔であかりを眺めてる
あまりにもじーっと見つめてるので私と倫太郎は顔を見合わせた

あかりも変やと思ったんか不思議そうに治を見て首を傾げる


「お前…意外と」


真剣な治の顔に周りの女の子たちが顔を赤らめてる
ちなみにあかりは変化なしや


「顔が肉まんそっくりやな」

「オッホ」

「ブハッ」

「治マジか!」


真顔のまま言い放った治に倫太郎や何人かは吹き出すけど、大多数は青ざめた
なんでかって?あかりの目が据わってるからです


「治」

「んー?」

「今すぐあかりに謝った方がええと思う」

「なんで」


その時、治のネクタイを掴んだあかりが、治を私から引き剥がした
そう、あかりも全国区のスパイカーや
そのパワーは勿論桁違いやし、同じパワータイプの治にも負けてへんと思う


「何すんねん!」

「黙れ、息の根止めたるわ」

「え、ちょ」

「歯ぁ食いしばりや、治」


素敵な笑顔を浮かべたあかりに治が冷や汗を流し始めるけど、時すでに遅し


その後廊下に響き渡った治の叫び声を聞いて侑が走ってきたとか

prev next




- ナノ -