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学園祭も終わり、最後に校庭で稲荷崎恒例の暴露大会

全校生徒の前でなんでも好きなことを暴露するっていうテレビでお馴染みのあのコーナーや

校庭には朝礼台ならぬ暴露台が設置されてて誰が行くんかみんなソワソワしてる


「侑が出る言わんくて安心したわ」

「俺出たら涼香への愛叫ぶかサムへの悪口叫ぶかしかないからなぁ」


ケラケラ笑ってる侑にやりかねへんと危機感を抱いてると、一人目が台に上がる


「え」

「げっ、サム!?」


台に登ったのはまさかの治
ぽけーっとした表情のまま上がり、みんなに手を振ってる


「これ侑の悪口ちゃう?」

「思い当たる節が多すぎる」

「(ムービー撮っとこ)」


倫太郎がムービーを回し始めたタイミングで治が叫んだ


「1年4組 宮治!叫びますー!」


いいぞーとかやれーとか周りが囃し立てる中、侑だけが真っ青になってる
十中八九侑の事やろうと思うけど


「1年1組!那月涼香!」

「ん?」

「え」


まさかの私の名前にポカンとする私たち


「ずっと好きでしたー!」

「…え」

「あんのアホ!」

「オッホw」


倫太郎はちょっと置いといて、治からのまさかの告白にテンパってしまう
侑はめちゃめちゃキレてる


「くらぁ!クソサム降りてこい!」

「次、同じく1年1組の宮侑!」

「あ゛ぁ!?」

「涼香を泣かせたら許さんからな!」


治は別に私らの中を引っ掻きまわそうとしたわけやなくて、身を引くために宣言したんやと実感した
それに、侑のこと狙ってる女の子に対する牽制も込めて

全部私らのことを思ってのことやと分かってるから侑も少しだけ口どもってる


「うっさいわボケェ!言われんでも大事にするわ!」

「ほお?毎日腹出して寝とお奴がよう言うわ」

「やっぱお前1回降りてこいクソ豚!!!」


そんな様子に他の生徒はゲラゲラ笑ってるし、女の子たちもどこか吹っ切れたように楽しんでる様子
治が何で急にこんなことしたんか分からんけど、とりあえずあとでお礼言わんとあかんな






そう思っていたのに、翌日登校してきて下駄箱で靴を履き替えてる時に周りの人たちがチラチラこちらを見てるのに気がついた


「あの子やで侑くんの彼女」

「ああ!噂の」

「双子から告白されるなんてすごいなあ」


前言撤回や、悪目立ちしてもうたことについては怒ってもええよな?

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