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「涼香、寝癖ついとるで」
「えっ、嘘やんどこ?」
「ここや」
手ぐしで直してくれたお母さんにありがとうと言ってから、リビングにいたお父さんに「行ってきます」と告げ、玄関に置いてた新しいローファーを履く
そして玄関の扉を開けば、いつもと同じ大好きな幼馴染たちがそこにいた
「おはようさん、涼香」
「おはよう、涼香」
「おはよ!」
私たちは今日から高校生
稲荷崎高校までは電車通学になるため、三人で駅に向かう
二人ともブレザー似合ってて不覚にも悔しい
てゆーかそれよりも
「いつ見ても見慣れへんわあ」
「もう二週間経っとるのにか?」
「せやから茶色から始めよか言うたんに、ツムが派手な色がええて」
「サムも乗り気やったやんけ」
侑は金、治は銀に髪を染めてきた時は、たまたま両家合同のパーティーをしてた時やったためみんな絶句してたのを思い出す
イエーイ!と登場した二人を見て私のお母さんはショック受けてたし、宮ママはキレてたし、お父さんたちは「こういう時期もあるんや」とかしみじみしてた
「にしても涼香、制服似合っとるなあ」
「ほんま?ありがとう」
褒めてくれた侑にはにかむと、侑は「尊い」とか悶えてたけど、どないしたんやろう
「気にせんでええから行くで」
「うん」
「待って!置いてかんといて!」
慌てて追いかけてきた侑
付き合ってから一ヶ月くらい経つけど、私ら三人の関係は至って変わらず、毎朝一緒に登校するし、これからは私も男子バレー部に入る予定のため帰りも三人で帰れそうや
治に報告した時は「嫌になったらいつでも俺ん所おいでな、ツム殴ったるから」と言われたし
あかりに報告した時も「何かされそうなったらすぐ呼んでな!」と言われた
一体何をしたらこんな扱いを受けるんや
駅の改札をくぐって電車に乗り込めば、二人が周りの人混みから隔離するように私の前に立つから自分が愛されてるんやなあと実感する
こういう些細な気遣いが本当に嬉しい
そういえばアランくんも稲荷崎高校のバレー部に入ったと聞いたし、めっちゃ楽しみ
どんな高校生活が待ってるんかな
隣の駅で乗ってきたあかりと四人で稲荷崎の最寄り駅で降りれば、周りには同じ制服を着た人達がいっぱいいた
みんな双子を見てキャーキャー言ってるし、あかりも美人やから人目を惹き付けてる
そんなこと気がついてないのか、クラス発表のことで言い争ってる三人を見て楽しくなりそうやと微笑んだ