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てっきりスパイク打つんやと思っとったのにまさかのスルー
いや、それよりも気になんのは…


「(こいつ、今までのジャンプがMAXやなかったんか?)」


昨日涼香と見に行った烏野の試合でもこない高く跳んでなかったハズや
意図して抑えてたんか?…そんな器用に見えんけど


「俺ら相手に実験ブッコんできよったんか?」

「飛雄くんも我が道行くタイプと思たけど、こっちも大概やな」


チラッと涼香を見たら案の定ワクワクしてますっちゅー顔で気にくわん
けど今は試合に集中や集中


スナのサーブはいつもの際どいラインを責めるやつ
なんとか返してきたけどそんなん何も問題ない


「オーライ」


ボールを拾おうとするスナが俺に気付いてスッと避ける
せや、こいつはちゃんと周り見えとるからやりやすい
それにスパイカーにセットするんは俺や

ファーストタッチをセット
ボールはアランくんがしっかり決めてくれる


「ナイスキー!」

「びっくりするやろがい!」

「エヘヘ」


もっかいスナのサーブ
確実に動揺しとる烏野に畳み掛けるように笛と同時にサーブを打った


「(俺も大概やけどスナも性格悪いからなあ)」


構える余裕のない烏野はレシーブもガタガタ
飛雄くんがセットアップの体勢に入っとるけどすかさず振り向きざまリバウンド


「(クッソ、上手いやんけ…!)」


と、次の瞬間
自分の目を疑った

昨日見たよりも全然早くて、これがネットを挟んで見る光景かと少し感心すら覚えてまう


「「うわ」」


サムと同時に声が出た時にはもう翔陽くんのスパイクが決まっとって、あまりにも一瞬すぎて会場がザワついとる


「(ブロックをブッチ切る早さと速さ、でも高さは一切殺さん)

カッコええなぁ!生で見ると益々かっこええ…!!」

「お前試合んなると精神年齢5歳下がんの何なん」

「喧しいわ」


せっかくテンション上がっとんのに水差すなやアホ!とサムを追い払う

応援団もブーイングやなくて拍手に切り替えてきた
おかげで飛雄くんのサーブは乱れネットイン赤木さんが拾って宙に浮く


落ちてきたボールを余裕持ってセットアップ
速攻には速攻、大耳さんにトスを上げればブロックが間に合ってない烏野を抜いてのスパイク


「(これはお返しやで)」


ネット越しの飛雄くんに牽制の意味も込めてあえてMBの大耳さんに決めてもろたんや
MBに決められたらMBでやり返す、どっちが上手いセッターかっちゅー話や

サムのサーブはまさかのリベロんとこ
すぐにブロックに入るけどこんな時に翔陽くんの囮が効いてくる

烏野のサーブは応援で乱れ、アランくんのサーブは決まる
と、ここで烏野のTO

ベンチに戻ればニヤニヤしとる監督と隣におる涼香


「侑、初っ端のサーブ微妙やったなぁー?応援に気ィ散らすなんてなぁー?」

「(ゲッ)」


我ながら微妙やったけど改めて言われると何も言えん
つかサムとアランくん笑っとるん見えとるからな!!!



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