05.


着いたのは、山の中だった


「ホントにこんなトコに白狐がいんのかよ…?」

「…向こうの方に神社があるね。行く価値はあるかもしれない」

「てか、俺スコップ持ってきてない……大丈夫だよね?」

「ヤバそうだったら取りに行こう。完全無防備だったら魑魅魍魎相手でも負けそうだ」




神社の近くまで行くと、突然閑馬が動きを止めた


「………いた」


閑馬が皆に息を潜めるよう言い、皆で覗く


神社の境内に腰掛けていたのは、紛れもなく白狐だった


泣いて、いる?




白狐に近付き、田噛が声をかけた


「……白狐、こんな所で泣くなよ。帰るぞ、」



白狐が顔を上げた



思った通り涙に濡れた顔、だがそれ以外にもおかしいところがあった




『ごめんなさい』



白狐の綺麗な琥珀色の瞳は真っ黒に染まり、白狐の尾が9本に分かれていた




耳を塞ぎたくなるような轟音が轟き、全員が吹き飛ばされた



『ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい………っ、はやく、逃げて、田噛さん……っ平腹さん、佐疫さんっ…………閑馬、』


九本の黄金色に光り輝く尾は、その言葉とは反対に俺達に向かって伸びる


「皆、一旦退こう!!武器をとってまた来るんだ!このままだと殺されかねない!」


大声で指示を出したその瞬間、閑馬が言った


「おれが時間を稼ぐ。お前らは早く武器を、!」

「閑馬!?ダメだ、俺達獄卒は死なないけど閑馬は妖怪だ!死ぬ危険だってある!」

「さっさと来い狐!!テメェマジで死ぬぞ、」

「早く来いよ!!!殺されっぞ!?」


「おれは妖狐若族長だぞっ………!負けるわけがない!」




閑馬の人間の姿が解け、見る見るうちに大きな狐………妖狐本来の姿へと変わっていく


「おい、佐疫。行くぞ」


「でも、閑馬が…!」

「あいつの為に、さっさと行って帰ってくるんだろうが。いいからとっとと来い」


田噛が無理やり俺の襟首を掴み、鳥居に投げ込んだ







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