02.


「……ようやく、落ち着いたみたい」


「おい、てめェは誰だ。名乗れ」

今にも少年に殴りかかりそうな田噛を何とか諫め、今もなお無表情の少年に優しく問いかけた


「…キミは、白狐と知り合い?」


こく、とその子は頷く


「そっか。ならいつから知り合いなの?キミは人間じゃないよね?」


するとその子は漸く口を開いた


「……おれは妖狐の一族、若族長の閑馬(カンマ)。

白狐とは幼なじみで、親友だ。…親友であり、…おれの想い人だ」


「…親友って風には見えなかったがな」

「確かに!!白狐、お前見た瞬間倒れたぞ??」

「田噛、平腹、静かに。2人は白狐を見ててよ、この子には俺が聞くから」

「分かった!!」

「……あー」


漸く騒がしいふたりがいなくなったところで、その子に詳しい話を聞く


「それで、今日は何をしにここまで?」

「…白狐の、ことだ。

お前達の中で、白狐の過去を詳しく知っている者は何人いる?」

「……俺達は詳しくは分からない、かな。でも、白狐と特別仲がいいのが一人いる。そいつなら少しは…」


「白狐のことを詳しく知らない奴等に白狐のことは任せておけない。

悪いが、白狐は返してもらう」


まるで親の仇を見るような目で、俺のことを睨む閑馬


「…閑馬は、白狐の過去を知ってるのか?」

「もちろんだ。だからこそ、おれには責任がある」

「責任?どんな」

「白狐を守る責任だ。

何も知らないお前らには何も出来ない。白狐は、おれが、…おれが…」


と、そこまで喋った時


閑馬の大きな瞳から、ぽろっと雫が落ちた


「……あれ、…」


「………」


必死に涙を止めようと目を押さえるが、とめどなく溢れる涙


「……白狐の過去は、明るいものではなかったんだね」

「……っおれが、…ちゃんと、あいつを、守ってれば、…っあいつは…………っ、う、…………っ」













「落ち着いた?」

「…すまなかった、見苦しい所を見せた」

「ううん。………あのさ、もし良ければ…白狐の過去、教えてくれないかな」

「…………」


黙りこくる閑馬。


だがその深い藍色の瞳には、確かに迷いの色が見える


「…面白い話ではないぞ」

「…うん。それでも知りたい」

「……分かった」



そうして閑馬は、小さな声で語り始めた




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