04.


保健室の中にいる収集癖は、耳障りな声を出す生き物だ

「食べ物?俺は持っていないが…」

『あ、佐疫くんに言えばりんごくれるよ』

「そうか。白狐も行くか?」

『んー…』


と、その時


「泣き止んだのか、ソイツ」

「田噛か。丁度いい、少しの間白狐を見ていてくれ」

『えっ、』

「話してみるといい。悪いやつではない」ボソッ

『…っうん!』

「別にいーけど、平腹も見なきゃなんねーんだよ俺は」

「どうせ見ていないだろう」

「まあな。ほら白狐、さっさと来いよ」


ぴょんっと跳ね、田噛さんの手にダイブする


田噛さんは私を受け止めてくれた


「それじゃあ行ってくる。田噛、泣かすなよ」

「泣かさねーよ」

『行ってらっしゃい、斬島さん!』

「ああ」



斬島さんの後ろ姿を見送ってから、私は田噛さんの正面に回って思いっきり頭を下げた


『ごっ、ごめんなさい!さっきは、あの、泣いちゃって、食べられるとか失礼なこと…』

「…お前、見た目に反して声でけぇのな」

『えっあ、ご、ごめんなさい…』

「怒ってねぇよ、別に。そもそも謝るのはこっち…」


と、その時


田噛さんの横で寝転がっていた人が飛び起きた


「田噛、誰と喋ってんのー!?」


『ぎゃっ!?』


びっくりして飛び跳ね、田噛さんの手から逆さまに落ちる


「っと、あぶねー…おい、平腹…」


田噛さんが帽子で受け止めてくれた。


なんか今日私、落ちすぎじゃない?


「うわ!?何ソイツ、ちっせぇ!!!」

『ち、小さくない!!これでも大きくなれるんだからっ』


帽子から下ろしてもらい、ドロンっと人間の子供サイズに変化する


『ね?ほら!』

「うおでかくなった!!!……いや、小さいな!」

『えっ!?嘘!』

「マジマジ。俺の半分ぐらいしか無くない?いや、1/3?」

『そっそんなに小さくないもん!』


言い争う私達を五月蝿そうに見る田噛さん。


「ねー田噛!!こいつめっちゃおもろいじゃん、誰!?」

「あー…斬島が攫って来た怪異だってよ。こっくりさんの白狐」

「白狐って名前?名前?白狐よろしく!俺平腹なー!」

『う、うん、よろしく!』

「あとなー、さっきのサイズのが持ち運びやすくて良いと思う!!」

『そうかな…?ならさっきのサイズでいーやっ』


またどろん、とさっきと同じぐらいのサイズに変化する


「うんうんそっちのがいーわ絶対!!」笑

『そうかなぁ…』


田噛さんの肩に乗せてもらい、3人で何気ない話をする


「こっくりさんってアレだろー?なんでも教えてくれるってやつだろ?」

『そうだよー!ホントは紙と10円玉無いとやらないんだけど、今回は特別!斬島さんにだけ、何でも教えてあげるんだー』笑

「えー斬島だけなの!?なんで!?俺はー!」

『平腹さんはだめー』笑

「マジー!?ショックー」笑

「…おいお前ら、うるせえ。寝れねぇだろ」

「あ、田噛ごめんなー!白狐、俺の肩乗る?」

『あ、えっと、』


その時田噛さんの顔を見ると、


ちょっと怒ってる…ように見えた。


『…どうしようかな…』

「来いよ!田噛も寝たいんだろ?だったら「いい。白狐は俺の肩に乗っとけ」…ははっ、田噛分かりやすいね!!」


『へっ、あ、うん!』

「そもそも、お前寝てただろ。さっさと寝ろよ」

「まーそうだなー、眠いもんなー。俺寝るわ!白狐おやすみー、田噛襲うなよ」

「襲わねぇよ、とっとと寝ろ。殴るぞ」

「ごめんなさいい!」


と、ちょうどその時斬島さんが戻ってきた


「済まない、遅くなった」

『斬島さん!』

「チッ…おらよ、白狐」

『わっ、』


ちょっと乱暴に斬島さんの肩に乗せられ、バランスを崩しかける


「行くか、白狐」

『うん、……田噛さん!あの、その、ありがとう!』

「あ?何がだよ」

『話してて楽しかった!また、話したい!』

「………あー…斬島、そいつ置いてけよ」

「断る。」

「………またな、白狐」


ぷに、と大きな指で頬をつつかれた


『えへっ』笑


笑って、私も田噛さんの指をぎゅっと抱きしめた







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