元気な声に呼ばれ振り返れば、廊下の向こうから駆けてくる二人の姿があった。
深亜は立ち止まり、微笑いながら「廊下は走らないようにー」と言って二人の到着を待つ姿勢を作る。
駆け足から早足で深亜の前へ着いた二人は、目を合わせ「せーのっ」の合図で同時に手にした物を深亜へと差し出す。
小さめのビニールパックに入れられ、可愛らしくラッピングされた物は、どうやら自分宛てらしい。
二人の手から受け取り、深亜は首を傾げる。
「これは?」
「バレンタイン用のチョコマフィンです」
「たぶん、美味しくできてると思うんですけど……」
期待と不安。そんな二人の表情を深亜は優しく見つめる。
「わたしがもらってもいいの?」
「深亜さんのために作ったんですっ」
「よかったらもらってください!」
真剣な様子の二人に、深亜は頬をほころばせる。
「ありがとう。大切に食べるね?」
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