(同棲設定)



 今日は一日ぽかぽかと暖かく洗濯日和でしょう、という予報通り、ベランダには眩しいほどの日光が降り注いでいる。これは布団を干すのにもってこいの天気だ。
 ごろごろとベッドから起きない大木(たいぼく)に構わず布団を剥がし、カバーは洗濯機へ放り込む。
 まだ寝足りないといった顔でこちらを見つめてくる千歳を床へどける。「深亜ひどか」となにやら聞こえた気がしたが深亜は気に留めず、シーツと枕カバーも洗濯機に放り込む。洗剤を入れスイッチオン。
 ラグの上に寝ころぶ千歳を見て、踏んでやりたい衝動が起こるが、深亜は見て見ぬ振りで布団をベランダへ運んだ。干した布団を軽くたたき、ふぅ、とひと息つく。
 そよ風はまだ少し冷たいが、今はそれが心地好い。
 ふ、と黄色いなにかが視界の端をよぎり、深亜は顔をそちらへ向ける。
 一匹の紋黄蝶が、風に乗ってふわりとただよっていた。
 ああ春なんだと、深亜は無意識に唇をゆるませながら、部屋の中へと入った。

「いい加減に起きたら?」
「……もうちぃと寝かして……」

 昨日、バイトで深夜過ぎになってようやく帰ってきたのは知っているが、つい深亜はため息をつく。

「お昼ご飯は?」
「そん時は、起こして……深亜」
「なに」
「抱き枕」
「踏まれたいの?」
「背中と腰ばお願い」

 会話が面倒になり、深亜は無言で千歳の横を通り抜けた。



おお、紋黄蝶。て、そんなリアクションになる。


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