身体がばらばらに吹っ飛んだかと思った。
 頭の一部でそんな風に暢気に思いながら、深亜は地面へ膝をついた。

「安藤!」

 ぐらりと倒れかけた身体を支えられる。
 鈍い動きで顔を上げ、必死な形相で自分の名を呼んでいるその人が無事なことに、深亜は場違いにも微笑んだ。

「会、長……お怪我……ない、で、すか……?」
「っ、馬鹿野郎! てめぇの心配しやがれ!」
「安藤さん! すぐに手当してあげるから……っ」

 近くにいるはずなのに、まるで遠くにいるように、彼らの声が聞こえる。

「足、手まとい、でも……役立て、て……嬉し、です……」
「それ以上喋るんじゃねえ!」
「……自分、の、状態くら、い……わかります、よ」

 腹部に銃弾を受けて、この環境で生き延びることなど出来るはずがない。
 ぬるりと、手にそんな感覚が触れた。

「跡部、会長……今まで、ご迷惑、お掛けしま、した……」
「安藤っ!」

 力を失った腕が、地面に悲しく落ちた。

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