そんな今日の夕飯はレトルトのカレーライスだった。
手首を固定されているので、彼女に食べさせてもらう。
無言で差し出されるスプーンを、こちらも無言で口に入れる。
咀嚼し、飲み込んでから丁度いいタイミングで改めてスプーンを差し出す彼女に、そしてそれをやはり受け入れる自身に、互いがこの状況に慣れつつあることを感じる。
千歳の口許を見つめていた彼女が、手にしていたスプーンを皿に置いた。
なんだろうと思いながら飲み込んだ直後、彼女の指が口端に触れ、唇を掠める。
息を詰めた千歳の目の前で、彼女がその指をぺろりと舐める。
真っ白な指に這わされる真っ赤な舌に、千歳は知らず身体を震わせた。
「……辛口だった」
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