(パラレル)



「どうして、死なせてくれなかったの……」

 目を覚ました深亜は天井を見つめたまま、無表情にそうこぼした。
 千歳は泣きそうに眉を歪める。
 ベッドに横たわる細い肢体より、包帯が巻かれた傷だらけの身体より。
 深亜の言葉がなによりも、千歳には痛々しかった。

「――死なせんよ」

 ゆらりと、人形のように一点を見つめる瞳が揺らいだ気がした。

「俺が絶対、深亜ば死なせたらんばい」
「……これ以上、苦しめっていうの?」
「深亜はまだ、絶望しか知っとらんけん」
「な、に……?」

 真白く冷たい頬を掌で包み、千歳はなにかをこらえるよう、淡く微笑んだ。

「俺が、深亜ば幸せんしたかと」



『君を幸せにしたい』
引用元:I love you.訳したー


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