(好きだから)


「どもーっす」
『あ、高尾くん』
「………」
「おっ!みょうじちゃんじゃん」
『遅かったね』
「先生につかまってさぁー…」
『あちゃ、それは災難だったね』
「まじで勘弁だわ」
『とりあえず着替えてきたら?』
「そーするわ」
「………」

そう更衣室に向かっていく高尾くんの背中を見ていた。
すると、隣から微かに舌打ちが聞こえた。

『宮地先輩?』

隣を見た時には、もう宮地先輩はボールをかかえながら木村先輩の所に行っていた。
不思議に思ったが、そろそろ部活が始まる時間だったのでドリンクの用意をするために体育館を出た。
その日の部活は何か変わったことはなかった。
少し宮地先輩の機嫌が悪かったぐらいだ。
でも、それに気づいたのは私だけだったみたいだ。
帰りはいつものように自主練を終わらせた宮地先輩と一緒に帰る。
どれだけ練習で疲れていても、宮地先輩は必ず家まで送ってくれる。

『宮地先輩』
「あ?」
『今日何かありました?』
「なんでだよ」
『えっと…。少し機嫌が悪そうだったので…。気のせいだったらすみません…』
「………」
『…宮地先輩?』
「…いや、あながち間違いじゃねーけど…」
『え?』
「………」

前を向いて歩いていた宮地先輩。
じっとした視線を感じて顔を向けると、何か言いたげな顔をしていた。

『?』
「お前…。高尾とあんなに仲よかったか…?」
『高尾くん?』
「………」
『えっと…』
「わりぃな…。ヤキモチだ。気にすんな」

そう言って少し前を歩き始めた先輩。
ポリポリと頭をかきながら歩いている。

『フフッ。宮地先輩っ』
「んだよ、抱きつくな」

なんだか嬉しくなって宮地先輩の腕に抱きついた。
文句言いつつも、されるがままの先輩にあぁ好きだなぁっと改めて思ったのだった。


end

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