(笑顔のために)


「お前さ欲しいもんとかねーの?」
『へ?』

学校の屋上でバスケ部レギュラー全員でお昼ご飯を食べていた時だった。
隣に座っていた大輝くんがいきなりそんなことを言い出した。

『どうして?』
「どうしてって…。それはー、ひみつだ」
『えー…。いきなり言われてもなぁ…』
「何かあんだろ。こう…いろいろと…」
『んー…』
「もらって嬉しいもんとかねーのかよ」
『なんでも嬉しいよ?』
「そうじゃなくてだな…!」
『えー…。変な大輝くん。考えとくね』
「それじゃだめなんだよ」
『なんでー?』
「今決めろ」
『無理だよっ!』

くそ…。
こんなことになるならもっと早くに聞いておけばよかった。
こいつの誕生日は明後日。
明日はオフ。
買うとしたら明日しかねー…。
本人に聞くことができなかったのから、とりあえずいろんな奴に聞いてみるか…。

「え?プレゼントっスか?」
「あぁ」
「んー…女の子にプレゼントかぁ…。もらってばっかなんでわかんないっスね」
「そうか、ならいい」
「え?!青峰っち!?」
「とりあえず、いっぺん死んどけ」
「えぇ?!」

ったく、モテるだけの奴は使えねーな…。

「テツ」
「青峰くん。どうしたんですか?」
「女にプレゼントって何がいいと思う?」
「女性にですか?そうですね…。気持ちがこもっているばいいと思いますが…」
「何話してるのー?」

やっかいなやつがきた…。
なまえと同じオレの幼なじみのさつき。

「…青峰くん」
「んだよ」
「なまえさんへのプレゼントなら桃井さんに聞くのが一番だと思いますが…」
「プレゼント?」
「おいテツ!オレは一言もなまえなんて言ってねーぞ!!」
「顔に書いてありました」
「顔…!?」
「何?なまえちゃんの誕生日プレゼント?」
「…だったら、なんだよ」
「まだ買ってなかったの?」
「うるせー…。あいつに聞けば明日何とかなると思ってたんだよ…!」
「大ちゃんのばかー」
「うるせ…」
「何か知りませんか?」
「んー…。この前欲しいって言ってたアクセサリーは私が買っちゃったし…」
「なまえさんのことなら何でも喜んでもらえると思うんですけど…」
「たぶん、なんでも大丈夫だと思うよ。大ちゃん!」
「はぁ〜…。明日見て決めっか…」

翌日。
オレはひとつの店の前で躊躇していた。
その理由は、目の前にある店。
いかにもかわいらしいお店で女の子がよく行きそうなアクセサリーショップ。
その中に巨大の男が一人で入るっつーのは、どうかんがえても…。

「(変だろ…!!)」
『あれ?大輝くん?』
「あ?」

意を決して入ろうとした所を聞きなれた声が、オレの足を止めた。

『何してるの?』
「あー…。いや、そーいやこの店お前が好きな所だったよなと思ってな…」
『そうそう!覚えてくれてたんだ!』
「まぁなー。…折角だから何か買ってやるよ」
『え?!』
「ほら行くぞ」
『ちょ、ちょっと…!』

こいつが来てくれてよかった。
まじ空気読んでるわ。

「何でもいいから一つ選べよ」
『本当にいいの?』
「早くしろ」
『んー…じゃあこれがいい!』

そう言って選んだのはブルーが中心のブレスネットだった。
なんとなく顔がにやける…。

「払ってくっから待ってろよ」
『はーい』

小恥ずかしいのを我慢して会計を済ませて、ラッピングされたそれを渡した。

「ほらよ」
『ありがとう。でも本当によかったの?』
「いいんだよ。あー…。一日早ーけど、その…誕生日プレゼントだ」

恥ずかしくなって、オレは顔を逸らして頭をかいた。
そんなオレの服の端を指でつまんで少し引っ張ったなまえ。

『…大輝くん』
「あ?」
『ありがとう』

嬉しそうに笑ったなまえに、今度はもっと前から聞いておこうと思ったのだった。


end

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