(僕の好きな彼女)


僕の恋人は社会人で、彼女と始めて会ったのはいつだっただろう…。
彼女は顔出しはしていないが、実は有名な恋愛小説家だ。
恋愛系の小説は読まないが、桃井さんが昔からファンだということは知っている。
どれほど彼女が女性に人気なのかが一目で分かる。
彼女が小説を書き始めたのは高校3年生のときらしい。
当時の小説はのちに少し改善され、デビュー作になったとか。
そんな彼女は今も目の前で小説を書いている。
なんでも、締め切りが近いらしい。
僕はそっと彼女の作業机の上にコーヒーを置いた。

『テツくん。いつもありがとう』
「いえ。小説を書いているところも好きなので」
『退屈じゃない?』
「そんなことないですよ」
『そっか。よかった』

恋愛小説を書いているが、彼女は僕とのことを小説のネタにすることはない。
"2人だけの秘密だから"
そう言ってくれたときは本当に嬉しかった。
スランプで内容が浮かばないときも決して使うことはしない。
そこも僕の好きなところでもある。

『ふぅー…』
「終わりましたか?」

しばらくして、彼女はペンを置いて両腕を上げ、一つ伸びをした。
その姿は誰が見ても疲労が溜まっているようにしか見えないだろう。

「なまえさん」
『んー?』
「こっちにきて休みませんか?」
『テツくん…。そうするー』

デスクから離れて僕が座っているソファーの隣に腰を下ろした。

「疲れたでしょう?寄りかかっていいですよ」
『いいの?』
「はい」
『じゃあお言葉に甘えて』

そういって彼女は僕の肩に頭を乗せた。

『こうしてると、どっちが年上か分からないね』
「なまえさんならまだ大学生でも通用しますよ」
『ほんと?』
「はい。なまえさんぐらいの人がチームメイトにいますから」
『それは嬉しいなぁ』
「今度バスケをしに行きますが、一緒にどうですか?体を動かせばすっきりしますよ」
『行きたい』
「では行きましょう」
『お手柔らかにお願いします』
「はい。なまえさん、おやすみなさい」
『うん。…おやすみ』

そう言って隣で眠りについた彼女の額にひとつキスをした。


end

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