(膝の上の重み)
『眠たーい…』
「…………」
『眠たーい…!』
「…………」
『眠たい…!』
「…………」
『眠たいー!』
「…少しうるさいです。なまえさん」
『だって眠たいんだもん!』
そう言って目の前にいる彼女は机にもたれかかった。
そんな様子を見て僕は一つため息を吐いた。
どう見ても年上には見えない…僕の彼女。
『今、失礼なこと考えたでしょ』
「考えてません」
『むー…』
顔だけを上げて向かい側にいる僕を見上げる。
そして頬をぷくっと膨らませた。
不本意ですが…かわいいです…。
小さく笑ったあとなまえさんの頭に手を置いてポンポンと軽くたたく。
「拗ねないでください」
『…拗ねてないもん』
「そんなに眠たいのなら寝ますか?」
『だって…テツくんは勉強してるし……』
「終わったら起こします」
『ほんと?』
「はい」
『じゃあ…膝!』
「え?」
『膝貸して!』
「…仕方ないですね」
『やった!』
なまえさんは嬉しそうに僕の膝上に頭を乗せた。
しばらくそのままでシャーペンを走らせていたが、下からの視線に耐えられなくなった。
「……なまえさん」
『んー?』
「寝ないんですか?」
『下からテツくんを眺めてるのもいいなぁって…』
「バカですね…」
僕は空いてる左手でなまえさんの頭を撫でた。
その感触になまえさんは気持ちよさそうに目を瞑る。
「ちょっと寝たらどうですか?寝不足でしょう?」
『ん……』
優しく撫でていると次第になまえさんの体の力が抜けていく。
そんななまえさんの様子に小さく笑って
止めていたシャーペンを握っている手を動かした。
膝に乗るなまえさんの頭の重たさと暖かさを感じながら…。
end
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