(お菓子のように甘い)


小っちゃくて、ふんわり軽くて、甘い匂いがする。
初めて会った時からそう思ってた。
仲良くなった今も、その気持ちは変わらない。

「なまえちんー。お菓子ちょうだーい」
『敦くん。今は飴しか持ってないや…』
「じゅーぶん」
『じゃあ、ハイ』

ポケットから出されたのは、彼女の髪色と同じ色をした飴。

「オレンジだー」
『いやだった?』
「んーん」
『良かった』

そう言って微笑んだなまえちんはやっぱり甘い匂いがする。
もらった飴を口に含んだ。

「またもらったのか。紫原」
「んー?」

後ろから声がして、振り向いたらそこにはミドちん。

「全く。お前はみょうじに甘えすぎだ」
「うらやましーんでしょ」
「バカを言うな。練習中にお菓子を食べるなと言っているのだよ!」
『まぁまぁ。いいじゃない緑間くん』
「オマエも紫原を甘やかしすぎなのだよ」
『そうかな?』
「ミドちん、うるさいー」
「うるさいとは何なのだよ!」
「本当のこと言っただけだしー」
『クスッ』

ほんとにこの2人は見ててあきないなー。
同じ歳のハズなのに、兄弟に見えてくる。
練習が終わった後は恒例のコンビニアイス。
みんなで買って、そこで別れる。
帰り道が同じ私と敦くんは並んで歩いて帰った。

「あー。今日もしんどかったー…」
『でも、めんどくさいって言う割にはちゃんとやるよね』
「んー。だって赤ちんに怒られたくないしー」
『それもそうだね』
「あとー、なまえちんに褒めてもらえるしー」
『大したことじゃないよ?敦くんがスゴイなって単純に思ってるから』
「オレからしたら特別ー」
『そうなの?』
「そー。赤ちんよりなまえちんに褒められた方が嬉しーし」
『それなら良かった』

甘い匂い…。
どうして、なまえちんは甘いニオイがするの?

「なまえちん」
『ん?』
「なんでなまえちんは甘いニオイがするのー?」
『へ?甘いニオイ?』
「うん」
『そんなのするの?』
「うん。するよー?」
『知らなかった…』
「そうなのー?」
『自分のニオイってわからないでしょ?』
「んー。たしかに」
『甘いニオイなんてするんだ』
「するよー。すごく美味しそー」
『美味しそうって…。私は食べれないよ?』
「えー…」
『えー、じゃないよ』
「んー…。じゃあちょっとだけー」
『え?…〜〜っ』

長い髪をサイドでくくってるなまえちんがいつも反対側の首が見えてる。
そんななまえちんの首をペロッと舐めた。

「やっぱ甘い」
『あ…敦くんっ!』
「んー?なにー?」
『何、じゃなくて!ここ、もう家の前っ…!』
「あれー?ほんとだー」

気付いたらもうなまえちんの家に着いていた。

「んー…。なまえちん」
『な、なに…?』
「ぎゅーってしていー?」
『い、いいよ…?』
「じゃー、えんりょなくー」

そう言って私を抱きしめた敦くんはやっぱり大きい。
でも、その大きさが安心する。
心臓の音、聞こえないかな…?
すごくドキドキして恥ずかしい…。

「んー。やっぱ甘いー。なまえちんの匂い好きー」
『ありがとう…?』
「ねー、なまえちん」
『なに?』
「すっごいドキドキしてる」
『!…もう、そんなこといわないでよっ…』
「そー?でも、オレもだよー?」

敦くんは私の手を取って、自分の胸のところにあてた。
私と同じぐらい早いその音。

「ねー?」
『…うん』
「なまえちん。…キスしてもいー?」
『…いいよっ…』

そう言うと少し屈んでくれる敦くん。
私も彼に合わせてせいいっぱい背伸びをする。

「あ。なまえちんからしてー?」
『えっ…!?』
「だめー?」
『だめじゃ、ない…』
「じゃー、はい」

少し屈んだまま目を閉じた敦くん。
やっぱりキレイな顔をしてるなぁ…。
敦くんの頬に手を添えて、頑張って背伸びして触れるだけのキスをした。


end

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