窓の向こうで目が動く
手繰り続けた糸が笑って千切れる
じつに6回目の心中であったと吐き散らす
きみの吐瀉物があの日見た夢の星空の正体だったなんて
まるで涙も出ない一世一代の御都合主義
犬も食わぬ荒れた舌の裏と感謝の言葉が鈴なりに


こんなに引き留めたきみの白い腕を
コンクリートの地面に叩きつけて
トラックが通るのを待っている
嘘をつかねば生きてはゆけぬと嘯く
きみの睫毛の生え際が見たほんの一瞬の閃光とは


「等間隔に光る幻覚の切っ先で人を殺した
 犯罪的な笑顔で踏み躙るより冷たく蹴落とした
 意味も知らず歌い続けたプロパガンダは
 7分の5拍子のリズムで空を切り刻む」

  ……とっくに世界中が知っている秘密を得意げに



末代までの恥と呻いた過去を
ずっと昔から知っていたみたいな顔で
繰り返す指先の奇行がきみを宇宙一の笑いものにする
顔を歪めただけで上手に笑えている気になる
つまらないひととつまらないひと


この世には真実しか無いことをまだ知らない
こどものようなきみが
世界の自転をいまだ信じる
アナクロニズムの権化になるまで


指摘された言葉を間違えていたのは
きみのほうであったというのに
まだ勝ち誇ったように笑う
白いマスクの下の裂けた口角


勝ち負けしか信じないのはお互い様でも
声が出なくとも呪詛は吐けるだろう
ただ細い糸を赤く染めて誤魔化しただけの
いまどき無垢な少女も騙されぬ三文芝居




メーラーデーモンが喰ったグランドフィナーレを
無人の客席でひとり待つ
その影もつい昨日、消えたところであった



【閉宴】
(111016)



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