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大人のための絶望が見たかった
忘れたかった名前を忘れてくれない人がいる気がした
嘘をつくついでにアレに会いに行く


内側に歪む景色の中で狂ったように計算する
暗い部屋と架空の樹海が皮肉めいて煌々と光る
革命前夜
何もかもが足元で目眩がするほど交差して
出所のわからない光が世界を照らす


黎明と啓蒙
明けるばかりだった陽が恐ろしいほどゆっくりと落下する
とても大切だった何かの死体の上で息を飲んだ
まるで大きな手にたとえられるこどもみたいなきもちで
鼓動のように疼く箱庭を茫然と見下ろしていた


立っていられない
ほどの




あの青い虫を手に取る前に私の意識は途切れる
追いかけてくる音楽から逃げるために長い長い足が必要だった
頭の中で腐った葡萄になって漂いながら誰かへの言い訳を考えていた
切り離される右手と左手が、左手と右手になって
もっとわかりやすく世界を再構築する
それだけ
それだけの




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嘘をつくついでに、アレに会いに行く



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