世界が揺れている
瞼の裏のサイケデリックアートを睫毛で舐める
爆弾人間から種を譲り受けたこの心臓は
ぼくとその他の境界線をも飛び越えてどんどん肥大化する
地球の回る速さがぼくの鼓動に同期して
ぼくを中心に世界が回る
回る
回る


かわいげのない嫉妬
きみが肯定した果物
生殖器の夢
水玉模様の窓
何もかもがきみのため息の中でゴミクズのように光の乱反射で輝く
どんな宇宙も平等に愛していくきみはやがて
緑色のガラスの中で泡になって
それ以上何のイデアも纏わない冷たい金属になる


――架空の滅んだ文明の中できみが口にした名前が踊る
256の問い掛けが素因数分解されてぼくの頭には理解されない
世界の裏側で哲学者は13本の足を持て余している
きみだけが、
ぼくの血液の色を、
匂いを、
味を、
知っている
きみだけが知っている


名誉ある落下の途中にすれ違ったきみがまだぼくの左脳に住んでいる
妄執的に屋根の上で詩を読むぼくは踏み出した右足が消えていくのを待っている
いつか見た電子の世界で
冗談のように細い糸でつながっていたぼくらがそうやって出会ったとき
きみの片目は見えなくなったのだった


きみのイノチを握りしめて
言えなかった言葉が唾液で溶けるなら
ぼくはきみになるよ



【きみに捧ぐ散文】
(110806)



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