「つまり?」
「もっこりを封印するの」

香は意気込んだように美樹にその秘薬を見せた。香水でも入っているかのように思わせる美しい装飾が施された小瓶。だがその一方で小瓶の中に入った液体は禍々しく緑色に濁っていた。
「……(まるで溝川の水ね)」
「これを遼に飲ませれば、たちまち、もっこりは封印される」
「……へえ(冴羽さん…ご愁傷さま)」
「何も呪文だけが魔法じゃないもの」
「―でも冴羽さんが飲むかしら。彼、勘も鼻もいいし」
「ふふ。ほら、かいでみて」
「あ、無臭だわ」
「そう。しかも無味なの。魔法の前じゃあ、遼もただの人間って事よ」
ふふふと香は黒い笑みを浮かべて拳を握り締めた。遼はこの世界のプロ。何て言っても遼はすごいと思う。でも女好きのもっこりスケベ男ってのが全てを邪魔している。
(ならば、私がその負の連鎖を断ち切る)
「これを珈琲に入れて、夕食にも混ぜようと思うの。そしたらたちまち、遼のアレは一生腑抜けになって使いものにならなくなる!」
「美樹、」
カラン、外を出ていたファルコンは抱えていた買出しの袋をカウンターにのせた。
美樹は「おかえりなさい」と笑みを向けて袋を受け取った。そんなファルコンはカウンターに座っている香を見て


「香、さっき遼が店の前から弾丸のように走って行ったぞ」
「え」
あれは、まるで風だったと後にファルコンは語った。





それから一ヶ月、遼は家出をした。







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