And…

ダレンはようやくまたその本を手に取ることが出来た。随分時も過ぎてしまった。
あの後ソルトは儀式に目を覚ますことなく、この世を去った。そして今現在ソルトの死は様々に言い伝えられた。ソルトが力欲しさにシヴァの取引に拒否をし、罰として命を取られたんだと言う者もいれば、恐怖に負けたソルトがシヴァから逃げ出し、混在するロード中で彷徨い続けている。と言う者もいた。
またあるいは、シヴァに気に入られ、傍に置く為に魂をとられたのでは。などと様々に良くも悪くも言い伝えられていく。
どちらにせよ、そんな噂はどうでもよかった。真実はいつだって彼女のに中にある。
季節は変わり、今はもう冬。雪が降り積もり、どこまでも白く純粋で静かだ。そしてあの日、あの時、ソルトが読んだところを読み返した。


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ソルト:『salt-名もない私-』
これは10までに呼ばれる名であり、10になった時、本当の真(まこと)の名が貰える。
その歳をこえても持つ『ソルト』は不吉なものとされている。それは次の来世での巡りが出来ないというものだ。
が、しかしとある文献では他の諸説が出てきている。ソルトの起源は、子を災厄から守る為につけた名だという説がある。
それはまじない界において「名」が、災厄や呪術をかけるきっかけであるからだ。
「名」を取られても良いように、ソルトという無の名前をつけ、愛すべき子を守る為に考えられた。神や化生さえも手出しできぬように太古の古きまじないが起源だともされる。
saltはそこにから派生している。
saltの名前に意味はなくとも、それを超越した背景があることは確かだ。
この場を置いて、salt=(名もない私)の他に、新たにソルトの解釈を加えさせる。

salt(ソルト)= 愛すべき人(もの)

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著者=呪い師として名を放棄する
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ミゾは抱えきれない程の花束をそこへ置いた。そこには石版に書かれた「salt」という文字。草原の上でそこには降り積もるような雪とともに花々が飾られていた。これを送ったのはソロモン国王陛下だ。王は国から出ることは出来ない。
さぞ心苦しかったでしょう。その代わりに絶え間ないほどの花が贈られ続けている。
「あなたはご存知なかったようですね」
ミゾは風がごうごうと唸る中で、その石版を眺めたて語りかけるように、あの時、ソルトに伝えれなかった、この花々の名前の起源を伝えた。

此処から遥か遠い巨大な風車がある都で、とある薬師が有名なんですよ。薬や花の種の調合で新しい品種を作ったり、それはそれは良い腕で、新しい花の種を育てることに成功したそうです。素晴らしい花でね。この花と名を知った当時、ソロモン王は我が青の国にも種を分けてもらおうとさっそく直筆で手紙を送ったのです。それからすぐに女性の薬師は快く種を分けると返事をくれました。確かその方のお父上も有名な薬師でその後を受け継いだそうで、その花は自分で名づけたそうです。
あなたは自身に興味なかっただけなのかもしれませんが、確かにあなた達が行く先々では有名だったんですよ。いつしかそれが広がり、確かに受け継がれ、広まり、賞賛されていたのです。その種の名はなんだと思いますか?ミゾはその無表情な石版にあふれんばかりの慈愛をこめて答えた。

 高名なるソルト 






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