男の子は私を連れて小枝を拾ってむき出しの地面を探して見つけると、ひっかくように絵を書き出した。それは地図。ご丁寧に文字も書いてあるが難しくて私には読めない。
「ほら、これが時計塔でここから町に出る。そして此処が森」
詳しく書き込んで森の部分を小枝で指しながら「俺はここのどこにいるか知りたいんだ」言葉は乱暴なのにその少年から紡ぎだれる地図はとても丁寧で同じ歳の子がかいたらくがきとはまるで違う。でも、
私は指をさして「ここに泉があるの」と言えば、その子は首を捻って「そんなもの習った地図にはのってなかった」と答えた。でも、確かにある。とても綺麗な水でこの小さな泉もそこから水が引かれている。
それに、
私は石を拾ってその子が描いた地図にかかれていない場所を書き込んだ。
「それにここの教会の裏には低い校舎があるの。今は潰れてナニーーおばさんが住んでいる。あと、ここは原っぱじゃなくて農場よ。町長さんが管理していて近くには家もある。それも最近だから、地図には書かれていなかったのかもしれない」
そう言って書き込んでゆくと「お前、なんて名前だ」私はきょとんとして「カオリ」と答えた。すると、そうかと相槌を打って私が付け足した地図を見ながら「そうか。地図は変わるものだな」と小枝を置いた。「あなたは、」そう尋ねると、「…リョウ」とぶっきらぼうに彼は答えて立ち上がった。そして私の傍に置いていた籠を見つめて「なんで植物なんか採ってるんだ」と聞いてきた。籠の中には木の実も薬草もハーブもある。私は一つ取り出してハーブの名前と効能を言って「ただの植物じゃないわ」と不思議そうに眺めるリョウに見せた。
「ばかだけどばかじゃないみたいだな」なんて失礼な子だろうか。きっと兄がいたらお説教でもしているだろう。私は冷ややかにリョウを見れば、さすがに気付いたのだろう。
それでもリョウは取り乱すことなく、つんとしように「危うく『ばかおり』って呼ぶところだった」と言った。ばかおり?私はよくわからなくて「何それ、地名なの」って尋ねたら、今度は心底呆れたような目をしてリョウは言った。
「お前、ばかだな」








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