とある彼女のおねだり

(苗木くんのアンテナを引きちぎる話)

「ねえねえ、苗木くん。それちぎっていい?」

なんて、開口一番に言ってくる彼女。彼女はこのコロアイ学園生活を共に送る仲間で、超高校級の頭脳と呼ばれている。だけれど、彼女はそう呼ばれている割には天然らしい。最近はことある事に僕にアンテナをちぎっていい?って聞いてくる。最初こそは驚いたものの、これが毎朝毎晩と言われ続けていたら、流石に慣れという物がでてくるわけで。
僕はあいまいに笑いながら彼女を躱す術を身につけた。
すると、また彼女のお得意のねえねえ、が始まる。

「苗木くんのアンテナってさワックスつけていつも立たせてるの?それとも寝癖?まさかそれが通常運転だったり!」

彼女は僕のこの髪の毛に興味津々なようだ。初めましての時は地球の重力がどうだ、とか物理的がどうとかよくわからない単語をぶつぶつ言ってたのが新しい。さすが超高校級の頭脳と呼ばれるだけあるのかな。

「苗木くん、聞いてる?」
「聞いてる聞いてる」

嘘だ、全く聞いてなかった。

「えっと、なんだっけ?」
「ほら、聞いてないじゃん」
「ご、ごめん」
「だからね?そのアンテナって事件が起こったときとか、学級裁判の時とか、証拠だったり謝った発言の時とかにピコーん!って反応したりしないの?」

何を行ってるんだろう、この子は。
たまに、いやいつもか。彼女の発言は僕には理解できないことが多い。とりあえず、僕は聞き返してみる。
すると彼女はまた綺麗な笑みを浮かべて言うのだ。

「苗木くんってさ、超高校級の幸運だけどいつもは普通の高校生みたいじゃない?だけど学級裁判の時とか捜査中のときとか別人みたいにかっこよくなるからさ。そのアンテナに何か秘密があるのかなあっと」

僕は彼女の言葉に顔が熱くなるのを感じた。ドクンドクンとけたたましく鳴り始めるこの鼓動を抑える術なんて知らなくて。どんどん早まる動悸に僕は胸を抑える。
なんだこれなんだこれ。どうなってんだ。
恥ずかしい、なんて……。

「とりあえず、苗木くん。後生だからそれ引きちぎらせて?」

そっと僕の頭上に伸びてくる白く綺麗な手に警報が鳴り響く。だけれどもうだめだ、僕は一歩も動くことができなかった。
ふふふ、と綺麗な笑みを浮かべる超高校級の頭脳の持ち主はどうやら僕を殺しにくるらしい。
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