寒い。さすがにこんな時間に短パンはきつかった。
吐いた息が白くなったのを見ながら、ぶるりと身震いをする。

でも、これが一番動きやすいしなあ。



「咲夜さん、重くないですか?」

「平気平気。これでも力はあるんだー。それより、前から思ってたけど、昌浩達と喋ってる時の言葉遣いでいいんだよ?」



そういう風に接せられるのも慣れていないし。彰子とは歳も近いし、なんか違和感があるんだよね。



「そ、う?」

「うん。それに、そっちの方が親しげでいいでしょ?」



これは勝手な私の解釈だけど。
それに彰子可愛いし!可愛い子とは今より仲良くなりたいじゃない?
え?私だけ?…そんなことないはず!



「昌浩、おはよう。」

「おはよ、昌浩、もっくん。朝餉もうすぐらしいから、あと少しの辛抱なんじゃないかな?」

「…なんでそんな他人事なんだ。」

「だってどれくらい作ればいいのか知らないもん。」



仕方ないでしょう。

私と彰子は妻戸を完全に開け、桶を片手に滑り込む。
昌浩の隣に私、その隣に彰子が膝をついた。



「やっぱまだ寒いね…。足りなくなったらいけないってことで、炭を持っていってあげるよう露樹様に言われてたの。」



昌浩は私が脇に置いた桶を覗き込む。そして軽く首を傾げた。



「それはありがたいんですが…、そ「昌浩も!その口調禁止!」…え?」



昌浩の言葉を遮って、先ほど彰子に言ったことと同じことを今度は昌浩に言った。
だってだって!義姉になるまでは普通に話してたのに!なった途端敬語なんて、昌浩がいきなり遠くなった感じがして寂しかったんだもん。
そう言うと、昌浩はかすかに目を見開き、迷うように視線を彷徨わせた。



「えと…いいんですか?」

「何が?」

「姉様に、その…、」

「私がいいって言ってるの!だからいいの!わかった!?」



少し痺れを切らしてしまい一気に言い切る。



「…うん。わかった。」

「よし!」



頷いた昌浩の頭をぐしゃぐしゃっと掻き回せば、わっ!?と驚く昌浩。かーわーいーいー!
それを見ていたもっくんがふと思い出したように口を開いた。



「そろそろ炭もなくなってきたんじゃないか?おい、昌浩や。今日あたり買っておいた方がいいぞ。」

「んー?大丈夫だよ。今日私出仕しないから、昼頃にでも市で買ってくるから。」



昌浩の頭を掻き回すのを一旦止めて言った言葉に、ニ方から待ったがかかった。



「待て、いくらなんでもそれは無理だ。」

「重いから、無理。買うとなったら男手がいるから、絶対にだめ。」



もっくんと昌浩二人に制されて、私はちょっと膨れる。
つい最近まで寝込んでいて外出ていないし、出れるようになったかと思えば、あまり自由に歩けなくなってしまったし。
出仕だって休んでいるから、外に出る為のいい理由ができたと思ったのに。



《咲夜。》

「六合?」



突然声をかけてきた六合に少々驚く。



《晴明が呼んでいる。》

「晴明様が?」



晴明様の名前に首を傾げる。



「何かしたのか?」

「なわけないでしょ。」



でも気になる。本当に私は何もしていない。脱走もしていないし。
特に用があるとは思えないけど…。



「ちょっと行ってくる。」



そう言って私は六合と一緒に晴明様のもとへ向かった。

**********

「何か御用ですか?」



私の前に座している晴明様に直球で聞いてみる。
だって、私を呼びに来てくれた六合はともかくだよ?
勾陳に玄武に朱雀に天一までいるんだもん。これはもしやの護衛追加ですか。



「察しの通り、これからは護衛を二人にしようかと思うてな。」



やっぱりですか。いや、待て。落ち着け咲夜!
これはチャンスだ。多く護衛についてくれればそれほど接する時間が長くなる。
そうすれば仲良くなれる!よーし。護衛追加も悪くない気がしてきたぞ。



「ここにいる者達で毎日二人ずつ誰かが護衛につく。」

「交替制…ですか。」

「そうじゃ。わしとしても咲夜にはもっと神将達と打ち解けてもらいたいからな。」



晴明様…!そんな事を考えてくれていたなんて…!なんていい方でしょう…!



「この咲夜、きっと立派に果たしてみせましょうっ!」

「よ、よくわからんが頑張ってくれるようじゃな。」



がしっと晴明様の手を握って力いっぱい頷く。神将達の視線が冷たい気がするけど気にしない。悲しくなんてなってないもん。…なってないんだからね!
その後は順番を決めて退室した。
後ろには六合と天一。オプションで朱雀もついてきました。天一が護衛につくときは護衛は三人って考えといた方がいいかも。絶対朱雀もついてくるだろうから。



「さて、朝餉の準備にでも行きますか。」

《作れるのか?》

「失礼な!朱雀、失礼な!朝餉くらい作れるわ!」



洋食だけしか作れないけどね!



 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
護衛追加は神将達が提案。



「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -