夜行と戦うのを止められた為、塀の影から見つからないよう見ていた。
昌浩が敏次殿を助ける。騰蛇と六合も夜行相手に奮闘している。
あ、あの魂…。年若い男だ。
「…え!?」
敏次殿が昌浩に攻撃した。なにしてるのあの人!?
昌浩は死霊をかばって前に出、空に五芒を描く。
ああっ間に合わない!
「―!!」
跳ね飛ばされた昌浩を六合が受け止める。
駆け寄りたい衝動をぐっと押さえ込む。出ちゃ駄目…っ。
六合が息を吐き、再び昌浩を布で覆った。そして、立ち尽くしている騰蛇に何か言う。騰蛇の肩の力が抜けたのがよくわかった。
「無事かあ…よかったあ。」
小さく呟いて、私はへたっと座り込む。吃驚させないでよ…。
「逃すか…!」
低く騰蛇が唸ったのが聞こえた。敏次殿に向けられない怒りを全部夜行に叩きつけている。
夜行は破片も残さず消えた。
騰蛇と六合が昌浩を抱えて去ると、敏次殿ががくりと膝をついた。
騰蛇達は私の隣に何事もなかったかの様な顔で戻って来た。
敏次殿、腰抜かしてる、抜かしちゃってるよ…。
どこか騰蛇の顔がすっきりしている気がするのは気のせいだ。うん。
「どうする?敏次殿、座り込んでるけど。」
そういえば、前にも座り込んでいなかったっけ。
「放っておけ、もう夜行はいないん「私敏次殿送ってくる!」…なんでそうなるんだ!?」
なんとなく。
「気を失っている検非違使達はどうするんだ?」
「……一人じゃ、無理…。」
痛いところ突いてくる。
でも、どーしよーどーしよ。ちゃーらっちゃららっちゃーらっちゃらららっちゃー…クラリネット?
歌詞忘れた。もうこんな感じであってるのかどうかすら忘れた。
「…じゃあ私、人呼んでくるわ。」
陰陽寮に助けを求めるのが一番手っ取り早いだろうし。
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中途半端/^^\