「晴明様、入ります。」



返事を待たずに部屋へと入る。
中には晴明様と青龍だけだった。
今回は少ないな、護衛。青龍一人か。



「咲夜様か、どうした?」

「出仕のことで確かめておきたいことがありまして。」

「なんじゃ。」

「孫ってことになっているのですよね?ということはやはり昌浩の姉ですか?」

「そうじゃのう…。男装するか?」

「はい、それは全力で嫌です。このままでいいのか聞きにきただけですので。ああ、あと」

「まだなにか?」

「護衛ってやっぱりつきますか?」

「当たり前じゃ、誰かは決まっておらんがな。」

「わかりました、失礼します。」



出かけに青龍に微笑んで出る。
青龍は護衛外されちゃったのかえ?なに。左遷?ああ、どちらかというと私の護衛が左遷先か。
今は晴明様の護衛に戻ったのだから中央戻りといったところかな。
とことこと廊下を歩いていたら思い出した。
そういえば私、こちらに来てから一度も荷物の確認をしていない。
出仕する前に確認しておこう。
そう思い、駆け足で部屋に向かった。
昌浩の部屋の前を通る時、室内をチラッと見ると昌浩の横には彰子が寝ていた。
やっぱりこうなるのか。
この後が面白いの!
にやにやとこの後の展開を楽しみながら部屋に戻り、カバンの中を早速漁る。



「ある、ある、ある…。無くなったものはない!」



暫くは、生活用品に困らないな。
くしもある、ゴムもある。
洗顔クリームに歯ブラシ。
化粧水だってある。
鏡もある。
入れといてよかった!
でも。



「…この服たちはどうしてくれようか」



今着てるのは、昌浩から借りた狩衣や直衣だ。
女ものは動きづらくて着ていない。
走れないし、胡坐かけないからね。
そう言ったら「慎み深さを持て!」ともの凄く青龍に怒られたけれど。
そんなもの、生まれたときにどっかに忘れてきたわ。



「邸の中でだったら着てもいいよ…ね?」



最後の方に疑問符が着いてしまったのは、うん。仕方ない。
そう結論をつけて荷物をしまう。
邸の中では向こうの服を着ることにした。
さて、出仕しますか!


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
荷物の存在を忘れてたなんてそんな馬鹿な。



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -