「うっわー。すごい人だね!」

「相変わらず多いね。」

「はぐれるなよ、咲夜。」

「うん!任せとけ!」



という会話がつい5分前くらいに展開されていました。
え?じゃあ今はどんな状態なのかって。

ええ、皆様の予想通り。



「…はぐれた。」



いやいやいや、どれだけ自分の言葉に責任持てていないんだよ私!?
早いよね、はぐれるの早いよねぇぇぇ!?

影も形も見えなくなってしまった昌浩ともっくん。人ごみの中ぽつんと取り残された私。
なにが原因っておみくじに走った私が原因なんだろうけどね。

ふらふらと人ごみからどうにかこうにか抜け出す。そのまま生えていた大木の下へと行き、座り込む。
迷子になったらその場を動くなっていうしね!
見つけてもらうのを待つしかないかな!

何をするわけでもなく人の波を眺める。



「ん?」



突然影が落ちた。
何事かと思い上をみる。



「あれまあ。どうしたの、青龍。こんなところで。」



私の目の前に立ち光を遮っていたのは、眉間に皺を寄せまくった青龍だった。
辺りを見渡してみるが晴明様の姿はない。

一人で来たのかな?

うん。それよりもさ。



「なぜに袴?」



そう。今目の前にいる青龍はどこからどうみても人間だった。
髪の色も瞳の色も違う。服装も違う。



「…よく、わかったな。」

「気配でね。一瞬誰かわからなかったよ。」



驚いた様子の青龍に肩を竦めてみせる。



「で、どうしたの?そこまでして初詣したかったの?」

「……、…。」

「まさか私と並んで来たかったとか。ゴメンナサイウソデス。チョウシニノリマシタ。」

「……、…。」

「…何か言って下さい。」



なにやら悲しくなってきたんだけど。
心がぽっきり折れちゃいそうです。



「…もう、願掛けは済んだのか。」

「ううん、まだだよ。」



その前にはぐれたしね!
そう言うと、青龍は少し思案するように目を伏せる。
わー。意外に睫長い。くっ…!羨ましい。なんてお、思ってないんだからね!



「…行くぞ。」

「え?あ、ちょっと待って!」



じーっと青龍の顔を見ていると、突然背を向けて行ってしまった。
慌てて立ち上がり追いかける。
なんとか隣までいくと、無造作に差し出された右手。

何?と視線を向けると前を向いたまま。



「はぐれられたら困る。」



ぶっきらぼうなその言葉に胸の中が暖かくなったのがわかった。

ふふ、と微笑んで差し出された右手に私の左手を重ねる。
私の手より大きいその手は暖かくて優しかった。



新しい年が始まるよ



(何をお願いしたの?)
(貴様が大人しくしていますように)
(それは叶わないね)
(………)



 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
あけましておめでとうございます(^∇^)!
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