!現ぱろ





「今日は自信作だよ!」



じゃじゃーんと宵藍の目の前に並べられた料理の数々。
料理の向こうでは咲夜が瞳を輝かせながらこちらを見ていた。



「…今日は、何かあったのか?」



毎日意気込んで料理を作っているのは知っているが、今日は一段と手が込んでいる。



「えへへ、今日は記念日だから!」

「記念日?」



なにかあっただろうか。

想いがかよった日は先日だったし、どちらかの誕生日というわけでもない。


首を傾げて考える宵藍に、咲夜は楽しそうに笑った。



「わからない?」

「…すまない。」

「謝らないでよ!わからなくても仕方ないんだし!」



むしろ分かったら驚きだわ!

自分がわからなくて咲夜にはわかる記念日?
ここまで嬉しそうにしているのだから、自分にも関係があることだということはわかるのだが。



「教えて欲しい?」



言葉とは裏腹に咲夜の輝く瞳は、聞いて聞いて!と訴えてきている。



「ああ。教えてくれ。」

「ふふー!今日はね、初めて宵藍から手を繋いでくれた記念日なの!」

「っ!?」

「宵藍っていっつもつっけんどんのツンツンだからさあ。宵藍から触れてくれたとき、すごい嬉しくて!」



だから私の中では今日は手繋ぎ記念日!

そう屈託なく笑う咲夜に不覚にも顔が赤らむのがわかる。そんなことまで覚えていたのか。



「咲夜。」

「なあに、宵藍?」



隣に移動し、ぎゅ、と手を握る。

目を見開いた後、目元を染めた咲夜にどうしようもなく愛しさが込み上げてくる。



「あの時は恋…という気持ちを知ったばかりで、どうしていいのかわからなかった。」

「宵藍の初恋は、私が貰っちゃったからね!」

「なら、あの時の恋という想いが過去に変わって愛になることを俺に教えてくれたのも咲夜だ。」

「は、恥ずかしいことをあっさりと言うようになっちゃって…!」



それも、君のお蔭。





(美味しい?)
(…ああ。)



 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
悲恋お題のはずだった



title by 確かに恋だった



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