「アスミタさん!」

「…ハル?」

「はい、ハルです。お邪魔します。」



十二宮を通って処女宮に今日も絶賛篭もり中のアスミタさんの元へと行く。

ずっと引きこもっている問題児なアスミタさんはいい噂を聞かないけれど、会ってみたらいい人だとよくわかる。
生まれた時から光がない、視覚以外の感覚で物事を把握するアスミタさん。
世界の苦しみも迷いも全て見えてしまうアスミタさん。
優しい優しいとっても悲しくて切ない人。

だからわたしは初めて会った時から決意していたんです。



「今日は真っ青な雲ひとつない洗濯日和です!」



彼は色もわからないと知っているけれど、それでもわたしは明るく告げ続ける。

貴方の髪は綺麗な金色の小麦の穂の色。
わたしの髪は真っ黒な闇色。
ね?アテナ軍には不釣り合いな色合いでしょう?
黒髪黒目。真っ黒闇色。
まるで、ハーデスさんみたいな色。
あの人も、話を聞く限り黒髪黒服真っ黒黒助なんでしょう?



「貴女は、光だ。」

「え?」

「貴女が来ると、不思議とこの世界全体が和らぐ気がする。暖かい、陽だまりの中にいるような、安心できる場所へと変わる。」

「…な、なんかもの凄い恥ずかしいんですが…!」

「ふふ、可愛らしいお人だ。」

「な、ななななに!?アスミタさんって実は天然誑しさんだったんですか!?」



お母さんそんな子に育てた覚えないですよ!
え?貴女が母親とは頼りないですね?うるさいです!

綺麗に笑う彼に見惚れたなんて、死んでも言ってやらないと決意した。





小麦色と陽だまり色


どちらもどこか物悲しげな色達でしょう?



 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
優しいけれど寂しい二色。



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