「それでね、久しぶりに故郷の幼馴染の夢を見たの。」

「良かったね、夢でも会えて!」

「うん!あー…でも…。」

「どうか、したの?」

「見たら見たで、懐かしくなっちゃって…その…泣いちゃった、んだよね…。」



あはは、と笑ってみるけど、目の前の少女の顔は晴れない。

聖域近隣の町であるここに住む少女は、わたしが故郷に帰れないことを知っている。
毎回話していたら、そりゃそうか。
でも、王宮にいる皆には何故か話せなくて、どうしてもこの少女に愚痴のように故郷のことを話してしまうのだ。不思議、謎。



「帰り、たい?」

「そ、だね…。…偶に、極偶に、そう思うよ。」

「………。」

「でもね、ここには皆いるから。寂しくはないよ。」



だから、そんな居心地悪そうな気配をだだ漏れにしないでください。

シオンさんに言われて様子を見に来たのだろうアルバフィカさんに苦笑を零す。
大丈夫、大丈夫ですよ。わたしは居なくなったりしませんから。

王宮に帰ったら、きちんと説明してあげないといけないかな。
美しいと言われるのを嫌い、人を近づけない優しい彼のことを思い、今日は少し早く王宮に戻ろうと心の中で決意した。





大好きな場所


今のわたしの居場所。





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