「笹川京子!!オレと付き合ってください!」 「キャアアアア」 「え、沢田くんヤバ……」 びっっくりした。 ボーッとしながら帰り道歩いてたら、なんか見覚えのある後ろ姿の子おるな……と目を凝らして見たらクラスメイトで学園のアイドルの笹川さんで、恐らく剣道部でイケメンだってキャアキャアされてた先輩と一生に下校してて、どうしよう!これもしかして放課後デートってやつ?えっうそやだぁラブコメ的なアレ!?なんて思いながらも、帰り道の方向が同じなので距離をあけながらも少女漫画みたいな展開にワクワクドキドキしてたら、突然上からパンイチ姿の沢田が降ってきた。 親方もびっくりである。 空からパンイチの少年が降ってきたんだからな。 や、逆に少女じゃなくて良かったのかな……流石にパンイチの少女はやばいって違うそうじゃない。 沢田くんは黒いスーツを着た……え?なにあの子赤ちゃん??の、わりには二足歩行でしっかりと首すわってるけど……とギャグマンガかな??と思いたくなるようなテンポの良い会話をしていたが、流石にその格好でずっといるのはヤバいんじゃ……と笹川さんにおもいっきり叫ばれて告白も失敗してたしちょっと不憫に思った私は沢田くんに声をかけることにした。 「あのー、沢田くん?流石にその格好でずっといるのはマズくない?もしもしポリスメン?って通報されちゃうよ」 「ぎゃっ!?えっ、なっ、みょうじさんーーッ!? 」 何でここにーーー!?と顔を真っ赤にしている沢田くんに「や、ここ帰り道で……そしたらパンイチの沢田くんが上から降ってきて笹川さんに告白をしてフラれてたから……」と眉を下げながら「えっと……まぁ、パンイチで告白したのがマズかっただけで、ちゃんと服着て告白してればまだワンチャンはあったよ!うん」とポン……と彼の肩に手をおいた。 さすが私、ちゃんとフォローもできる女である。 「ぐぅっ……変に慰めるのはやめて……!」 「ん〜、なら……インパクト大事にしたかったんだろうけど、流石にパンイチで告白はないよ沢田くん。乙女の気持ちもっと考えな?」 「慰めるのやめた途端に正論で殴ってこないで!?」 「慰めないでって言ったの沢田くんじゃん」 なんだよワガママだな〜〜と言いながらも鞄から私のジャージを「流石に視線集めてるから着なよ」と渡せば、沢田くんはうぐぐと顔を真っ赤にしながらも「あ、ありがと……」とお礼を言って私のジャージを着た。 うーん、私、女子の中でも背わりと高い方だけどやっぱ男の子って違うんだな。若干丈が足りてないからツンツルテンって感じ。 「お前ら、漫才コンビみてーに息ぴったりだな」 お笑い目指したらどーだ?と言ってきたスーツを着た赤ちゃんに、私は「だって沢田くん。目指す?」とへらと笑った。沢田くんは「目指さないよ!!てか、お前もなにナチュラルに会話に参加してるんだよッ!!」と突っ込んでいた。 うーん、残念だなぁ。 沢田くん突っ込み向いてるとおもうけど。 「そういえば、まだ君とは挨拶してないね。こんにちは、沢田くんの弟かなにか?」 「ちゃおっス。こっちも挨拶が遅れてわりーな。オレはリボーン、コイツのカテキョーだゾ」 「へぇ、そうなんだ。私はね、なまえだよ。沢田くんとはクラスメイトなんだ。っていうかさっきから気になってたんだけど帽子にのってるカメレオン本物?かわいいねぇ」 「本物だゾ。オレの相棒レオンっていうんだ」 「へぇ〜〜!レオンくんのお名前にしろその帽子とスーツにしろ、沢田くんの家庭教師くんセンス良いね〜〜」 「おまえ、中々に良い女だな」 「お、分かる?将来女優になるのが夢なんだよね」 「お笑い芸人じゃなくてか?」 「うーん、そっちも捨てがたいかも」 「そこは女優って言いきりなよっ!!てか、何で仲良くなってんのー!?」 あーもーっ!と叫んだ沢田くんは、やっぱりお笑い芸人向いてると思うなと私は確信したのだった。 「じゃあ、私はもういくね。あ、ジャージは明日返してくれればいいから」 「えっ、あ……う、うん……」 流石にあの告白したあとだから、沢田くんが学校に来てくれるかどうかは不安だけども。 まぁ、沢田くんそういうとこはちゃんとする人だし来てくれるだろうとは思うけど。 リボーンくんにもバイバイして、その日私は帰宅した。 翌日、沢田くんはクラスメイトどころか全学年にあのパンイチ告白事件を笹川さんと一緒にいた先輩に言いふらされていて、決闘だなんだと沢田くんを連れていってしまった。 こんなのただのイジメでは??と、思った私はむむむと眉を寄せた。 確かに、沢田くんのやり方はちょっといやかなりアレだったかもだけど、にしたってそんな全生徒に言いふらすなんて卑怯だ。 大丈夫かなぁ……と、思いながらも私は沢田くんと先輩の決闘を見に行くことが出来なかった。何故ならば、私は学級委員長なので先生に報告という名のチクりをしなくちゃいけないので。 必殺技「せーんせいに言っちゃお〜〜」である。ただし、無能な教師であればこれはあまり良い方向に発動しないこともあるので要注意が必要です、まる。 先生にチクったあとは、いつも通り小説を読みながら朝のHRが始まるのを待った。 どうやら決着がついたらしい。 ゾロゾロとやってきた生徒たちの中に、なにやら先程とはうって変わって沢田くんにフレンドリーに話しかけている男子たちと、ニコニコ嬉しそうに沢田くんを見つめる京子ちゃんがいた。 「あっ」 パチリと沢田くんと目が合う。 「おはよう」 「お、おはようみょうじさん……!」 何故かまた体操服を着ていたけど、無事に持田先輩との決着は沢田くんに白旗があがったようだ。 「良かったね、沢田くん」 にこ、と隣にいる笹川さんに微笑みかける。 笹川さんは「?」とよく分かってない表情で、それでもにこにこと笑顔を浮かべていた。 沢田くんは私が何を言いたいのか察して真っ赤になっていたけど、わたわたしながらも「……うん」とへらりと笑った。 なんだか、そんな笑顔にトクンと胸が動いた気がしたけれど、いやいやまさかねそんなはずは、と気がつかないフリをしたのだった。 ・連載ネタでかいてたやつ << >> 戻る ×
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