The Beginning of the End
FF零式/好きに書いただけ。



廻り、尽きぬ螺旋の内

幾度繰り返しては終わりが無いと嘆く。

幕引きに終焉は無く、

又、その内に救いは無い。


始まりは終わりを招き、又、終わりは始まりを招く。


*The Beginning of the End*



目が覚めると其処は、
炎と煙と悲鳴が溢れる戦場-絶望-だった。

見た事の無い景色、初めての場所、戦争なんて体験した事の無いの筈なのに、何故か感じる既視感と懐かしさ。
普通ならば周りの人々の様にパニックになり悲鳴を上げる筈なのに、今の私は酷く冷静で、ただ呆然と、ぼんやりと燃え征く町を上空を飛行し飛来する戦艦を眺めていた。

人々が逃げ惑いながら人の流れを作る。

私は其れに逆うかの様に道の中央で立ち止まり、ふと己の手を見詰める。いつの間にかくしゃくしゃになりながら、手の中へと収まっていたトランプのカードが強い風に攫われるかの様に飛んで、消えていった。
ただ漠然と其れを見詰め、“行かなければ”と言う使命感に似た何かが胸に込み上げて来た。

行かなければーーー何処へ?

助けなければーーー誰を??

波紋の様に私の胸の中に広がって行く使命感と、
其れ等を助長する様に耳元で囁く“誰かの聲”


『征きなさい、迷子。貴女の使命を果たすのよ…』


優しく厳しい母親の様な人の声。
知らない筈の声を酷く懐かしく感じ、何故か涙が溢れ、目蓋を閉じる。


行かなければ、行かなければ、行かなければ…!!
行って、今度こそ、救わなければっ!!!

嗚呼、誰かに呼ばれた気がした。

誰かが私を待って居る様な気がした。

誰かが、私に言った。


『螺旋の内からお前は弾かれ、お前は迷子になった。』

『でもだからこそ、貴女の手で、』

『誰にも倒せなかったモノを倒し。』

『誰にも討ち取れなかったモノを撃ち抜いて』

『誰にも壊せなかったモノを壊して〜』

『誰にも断ち切れなかったモノを斬って』

『誰にも曲げられ無かったモノを曲げて』

『誰にも救えなかった人を救って、』

『誰にも成せなかったデッケェ事やって、』

『誰にも手を差し伸べて貰えなかった人々を、』

『その手で救い、その脚で進み、己の運命を切り開かなければいけません。』

『名前…俺達は、此処で、お前を待ってる。』


『諸君等に、クリスタルの加護あれ』


『ーーー我ら、来たれり』


閉じた目蓋をソッと開ける。
大丈夫、私の目の前はまだ朱く染まっていない。
炎で赤く染まってはいるが、あの刻の朱には程遠い。地獄はまだ、幕を開けたばかりだ。

私は逃げ惑う人の波の間を逆走して、走り出した。

行け、走れ、頑張れ、負けるなと、私を駆り立て、突き動かす声は止まない。だが、今の私は無性に其れを心地良いと感じ、泣きたくなる程の懐かしさを覚えて居る。

バサバサと私の肩から掛かって居る朱いマントが、腰のスカートが、速度を上げ風を感じる程に音を立てて翻る。
知らない筈の道を誰かに導かれる様に迷い無く走り抜ける。

遠くで雷鳴が鳴るーーー



9と9が9を迎えし時

識なる底 脈動せし

そして始まりの封が切れし時

雷のごとき声音が響かん

我ら来たれり


ーーー弾かれた刻が動き出す。


*****
其れは“終わりの始まり”


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