俺の手は血色(アカイ)


▽景時視点(?)


「ねぇ、望美ちゃん…」

「はい、なんですか?」


寂しそうな笑顔で彼女を見詰めているのが、源頼朝 に仕えている源氏の戦軍奉行の 梶原 景時


「もし、もしもさぁ……」

「はい」

「俺が望美ちゃん…いや、九郎や弁慶、譲くん皆を……」

「…はい……」


一瞬戸惑った様に口籠もり、そして、とても言いにくそうに切り出した。


「裏切るって言ったら…君は、俺をどうする……?」

「……。」


彼の腕の中で彼女は、春日 望美 はあっけに取られた。いや、予想はしていたが本人から直接言われるとやはり、何か感じるものがあったのだろう。

彼女は普段と変わらぬ高校生活を送る中、突然、白龍の神子として選ばれ異世界へと飛ばされてしまった。
飛ばされた先の異世界で、源氏の総大将をしている 源頼朝 の弟である 源九郎義経 達と出逢い、九郎達と行動を共にしていた 梶原景時 に出逢った。

彼女は、景時と行動を共にしているうちに、いつしか景時に心ひかれていった。

景時も同じで明るくとても前向きな望美にひかれていった。

二人は、自分達の想いを告げ、両想いとなる事が出来た。
そして今は、十六夜の月がとてもきれいな中誰もいない部屋の縁側で、二人抱き締め合っている時、景時が突然言い出した一言によって幸せだった時間に、大きな沈黙が落ちてしまった。


(あれ?ちょっと…、唐突過ぎたかなぁ〜?…ははっ俺ってやっぱり駄目だなぁ〜…)


「あ〜…ほ、ほら望美ちゃん、もしもの話なんだよ?もっと気楽に考えて――・・・」

「ーーーます。」

「……え?」


彼女の声はとても小さく、消え入りそうだったのに景時にはその声がハッキリと聞こえた。


「私は、景時さんを信じます。」

「え……?」

「例え裏切られたとしても、私は、最後 の最後まで景時さんを信じます!!」

「望美、ちゃん……っ」


景時には、その言葉がとても嬉しかった。

たとえ望美がウソや気休めで言っていたのだとしても、その言葉が景時に重くのしかかっていたモノをどけて、景時の心を、助けたのだ。


 (望美ちゃん…君は、俺の心をやすやすと助けてくれるんだね・・・)


景時は知らず知らずのうちに微笑んでいた。


「望美ちゃん……」

「?…はい?」

「ありがとう、君のおかげで俺、少し気が楽になったよ・・・本当に、ありがとう」

「景時さん・・・」


景時は望美を強く強く抱き締めた。
望美も景時に負けないくらいの強さで暖かさで景時を抱き締め返した。

この先何があったのだとしても、自分が望美がこの暖かなぬくもりを忘れないために、強く強く・・・

景時は望美のこのぬくもりがあれば、何でも乗り越えていけると思った。

(この先俺が頼朝様に君を殺せなんて言われても、俺がちゃんと、俺の命をかけても君を守るから、だから―――・・・・だから君は……)

景時の瞳から涙がこぼれ伝い、景時の両頬を濡らす。

(…だから君だけは、幸せに生きて、生きのびて欲しい・・・俺は、それ以上は何も望まない・・・君の幸せを――・・・)

望美は景時の涙に気付いていた、だが、景時があまりにも悲しい顔をしているから何も言えなかった……。



そして、その後二人は、あまた(多く)の苦難や困難を乗り越え、源頼朝を加護する荼吉尼天(ダキニテン)を倒し、頼朝を説得後、京で二人幸せに暮らしたと言うのだった。

しかし、それはまた後のお話――・・・



―end―
 

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