お題ったー 3つの恋のお題
アーチャーへの3つの恋のお題:寝ぼけてキスをした/はしたないくちびる/準備はいいかい?
「ん、んん…っ」
「ん…ふっ」
熱い唇、艶やかな吐息、荒々しい口付けとは裏腹に、触れる指先は酷く優しい。
最初の切っ掛けは何だったか…そう頭の端で一瞬考えて、直ぐに思い出した。
ああ、そうだ、アレは私が、貴方に寝ぼけてキスをしたのが始まりだった。その所為で彼の中の理性が焼き切れ、私に覆い被さって来たのだ。
「あ…は…っんん、ふぅ…っ」
「は…っふっ、はしたない唇だ…」
そう彼は嬉しそうに微笑んで、
「ーーー準備は良いかい、名前…?」
獣の様な瞳で見つめて来た。
別に嫌ではない。だって、私がそう望んで最初に彼にキスをしたのだから、何も無かったらそれはそれで困るのだ。
ランサーへの3つの恋のお題:続きはまた後で/抱きしめて、キスをして/あと少しだけこのままで
※五次槍視点
俺のバイト先に珍しく名前が顔を出した。
珍しい事もあるもんだと思いながら、接客の最少しばかりしゃべっていたら、それを見た店長が気ぃ効かせて俺を休憩時間にしてくれた。その事を名前に伝え、一緒に休憩室行くかと聞くと名前は二つ返事で頷いたのだった。
「今日は珍しいじゃねぇかよ、名前が此処に来るなんて…」
「そお?別に普通だと思うけど…」
「なんだ俺に会いたくて来てくれたんじゃねぇのか?」
「な、なんでそうなるのよ!べ、別に私は会いたかったとかじゃ…っ」
平然とした顔してたかと思ったら俺のたった一言にいきなり赤面し、モゴモゴと口籠る名前に笑みが溢れた
……嗚呼、本当、可愛いヤツ…
「へーへー、おい知ってるか?お前みたいな奴の事世間一般では“ツンデレ”って言うんだぜ?」
「なっ!?だ、だから違うって!たまたまよ、たまたま!!」
「そうかそうか、俺の彼女様は本当可愛いよなー」
「ち、違うったら!!ちょっ、何すっ!?離しなさいよ!誰か来るかもしれないじゃない!!」
「誰も来ねえよ、今は俺だけが休憩時間なんだから…」
「〜〜〜〜〜っ」
しばらくそのまま名前をからかい半分で抱き締め、触れ合いながら駄弁ってると休憩室の扉がいきなりノックされ、『ランサーくん!悪いけど、店の方が忙しくなってきたから早く戻って来て欲しい!!』と、他の店員が俺を呼びに来た。
俺はその言葉に返事しながら、名前へと向く
「どうやら、続きはまた後で…だな」
俺が名前の頭をポンポンと叩きながらそう言い、仕事に戻ろうと思い伸びをひとつすると、名前がいきなり俺の制服の裾を掴んだ。
「……ッラ、ランサー!」
仔犬見てぇな必死な面して俺の名を呼ぶもんだから、俺は無意識に声音を柔らかくして返事をしていた。
「んー?」
「最後に我儘言って良い…?」
「なんだ随分珍しいじゃねぇか、良いぜ何でも言いな…」
「あ、あの…っ抱き締めて、キスをして…っ」
「ーーーっ」
名前にしては本当に珍しい事だった。
「やっやっぱ、今の無し!!聞かなかった事にーーーっ」
言いながら裾を掴んでいた手を離そうとして、俺はその手を逆に掴み返した。
「んなお願いされて、俺が断れる訳ねぇだろ…っ」
「ら、ランサー…っ」
「おら、こっち向け…キス、してやっから…」
「う、んーーーーっ」
名前が返事するよりも早く、唇を奪い、呼吸を奪い、深く深く舌を絡ませ合う。
苦しそうに息をし、瞳には生理的な涙を滲ませ、必死に口を開き舌を絡ませ、拙いながらも俺の愛撫に応え様とする名前の姿に堪らないキモチになった。
「ふっは…んっ」
「ん…っはっ」
「ラン…サ…ッね、もう、そろそろ行かないと…っ」
「うるせー、俺だって分かってけどよ…あと少しだけこのままで、居させてくれよ…」
「ーーーーうん」
嗚呼、本当に今日は珍しい事だらけだ。
いつもなら名前は此処で「何言ってるの!早く行ってあげなさいよ!!」と照れ隠しの意味も込めて、怒る所なのに今日は全然怒らねぇ…嗚呼、本当に今日は珍しい事だらけだ。
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