お題ったー 素直じゃ無い恋


※言葉が少しずつ違うのは話の流れに合わせてですので御了承下さい。



アーチャーの素直じゃない恋で3番勝負!
1【ひどいことしてるとは思うけど…】
2【心がいっぱいいっぱい】
3【君からきてくれるまで】



「ーーー酷い事しているとは思うが…」


彼の言葉はそんな始まりだった。


「ええ、まあ…否定はしません。」


その言葉に頷きながら私は彼の言動を見据える
確かにこの男の言う通り、私は今、端から見たら“酷い事”と言われても過言では無い事をされている…要はこの男に“襲われている”状態なのだ。
別に私が彼を誘った訳でも、元から私達の中がそういう仲だった訳でも無い。本当にこの男がいきなり押し掛け、いきなり私を押し倒し、いきなり襲ってきたのである。
何が切っ掛けで、何が彼の欲望のトリガーを引いたのかサッパリな状況のまま今に至る。


「君で心がいっぱいいっぱいなんだ…っ」


泣きそうな切なそうな余裕が欠片も無い本能剥き出しの男の顔でそんな事を言う彼に不覚にも、こんな状況にも関わらずドキッとした。
流されてはいけないと知りつつも思いつつも、この人にならいいのでは無いかと一瞬流され掛けた私は既に手遅れか…そうとう頭がイカレているのか……恋はなんとやらと言うが、正にそれ、重症だ。

ーーーそして、結局私はこの男に弱いのだ。


「ーーー待つよ」

「?」

「待つよ、私は貴方から来てくれるまで待つ」

「……っ」

「アーチャー…」

「ーーー名前っ!!」


覆い被さってくる彼を抱きしめながら温もりを感じる。
それからずっと何もせず彼は私を抱き締めて来て、ただただ無言だった。時折聞こえてくる彼の吐息を愛おしく思いながら私は目を閉じた。

ーーーーずっと君に触れたかった

そんな言葉が聞こえたのは、きっとイカレた私の耳が都合良く解釈しただけだろう…




ランサーの素直じゃない恋で3番勝負!
1【ちょっとはにかんで】
2【明日も君は来るのだろうか】
3【優しくしないで】
※五次槍視点



カフェでバイトをしてたら見知った人影を発見し、思わず声を掛けた。
何処かイラついた様子の名前にちょっとはにかんで声を掛けるが、


「…何よ、何もないなら仕事にでも戻ったら…?」


ジロリと一瞬ひと睨みし冷たく返されてしまった。んだよ、冷ぇな…
にしても、今日は不作だ、バイト中良いなと思って声を掛けた女には上手く逃げられるし、言峰からは地味な嫌がらせ食らうし、ギルガメッシュの野郎は(1番良い席で)どか座りし酒を飲みながら文句垂れるだけ垂れて手伝いもしねえで帰りやがった、ああ…良い事がねえ。
んだかんだとコーヒーとケーキでも出しながら機嫌を取りつつ話し続け、ふと思い撫でるために頭に触れた瞬間、彼女がガバッと勢い良く後ずさり頬を真っ赤に染めながら一言


「…っ優しくしないでよ!!」


それだけ言い残すと店から飛び出し走り去ってしまった。

明日もお前は来るのだろうか…?

嬢ちゃんが機嫌悪かったのも、飛び出して行ってしまったのも、全て理解の上で俺は実行したんだ。

ーーーさて、次回は上手く捕まるかな?




士郎の素直じゃない恋で3番勝負!
1【明日も、明後日も、これからも】
2【僕の張った予防線を軽く越えていく】
3【今日も君は来るのだろうか】
※士郎視点


『幼馴染み』

それが俺の張った精一杯の予防線だった。
明日も、明後日も、これからも・・・
この関係は何があっても変わらないと思い信じてた。でも結局のところ、そんな関係は、そんな予防線は、名前の前では全くの無意味だと後から思い知らされる。

名前は俺の張った予防線を軽く超えて行く

何度人が綺麗に引き直しても、何度人が厳重に警戒しても、名前は軽々と飛び越えて行く
まるでそんな予防線なんて最初から存在しないかの様に、ズケズケと踏み入り超えて来ては俺の心を揺さ振る。

ーーー「士郎が好き」だと、

何度この告白を聞いたか分からない、けど名前は事ある毎にこの言葉を口にした。
その言葉はまるで挨拶か何かの様に軽い調子で笑うんだ。

ーーー「士郎が好き、大好き」と、

ただ純粋に、ただ真っ白に、俺の幼馴染みは笑う。
綺麗に綺麗に笑って、俺を抱き締めてくる。
大切なモノを扱うかの様に繊細に、かと思ったら気安く乱雑に、その時々に寄って扱いは違うけれど、でも確かに感じ入る“想い”がある。

俺の事を好きだと笑う名前を、俺も確かに大切だと好きだと想っている。

それを今更言うのは何処か恥ずかしくて、ちょっと照れ臭いからきっと俺はその言葉を最後の最後まで、もしくは何か有るまで言わない事だろう。


……今日も名前は来るのだろうか…?


あの幼馴染みの事だ。来るなと言っても来るのだから、きっと今日も来るだろうさ…
密かに己の頬が緩んでることに気付きながら、俺はゆっくり立ち上がった。
遠くで聞こえる名前の声に返事をしながらーーー

 


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